1997 Fiscal Year Annual Research Report
中国大陸から越境移動する大陸性エアロゾルの起源の特定に関する研究
Project/Area Number |
09878104
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
西川 雅高 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (80228171)
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Keywords | 黄砂エアロゾル / 越境移動 / ストロンチウム / カルシウム / 砂漠土壌 / 中国 |
Research Abstract |
中国大陸から越境移動する大陸性エアロゾルを捉えるために、日本の西南域を中心に大気エアロゾルを1997年3月から通年モニタリングを開始した。モニタリングを行っている地点は、西表島(東経124度、北緯24度)、阿蘇(東経131度、北緯33度)、隠岐島(東経133度、北緯36度)、富山(東経137度、北緯37度)、清水(東経138度、東経35度)、つくば(東経140度、北緯36度)である。1998年春季のみ、一時的モニタリングステーションとして、奄美大島(東経128度、北緯28度)を追加する計画である。それにより、北緯24度および東経124度から、それぞれ4-5度単位ごとにステーションの配置が可能となる。この4度メッシュごとの観測から、中国から越境移動する大気エアロゾルを移動ルートごとに捉える予定である。1997年度は、越境移動機構を解析するのに都合のよい黄砂エアロゾルの飛来回数が例年になく少ない年であり、1例のみ観測できた。それと並行して、もともとの中国国内の土壌起源系(黄砂)エアロゾルの発生源調査するために、北京郊外および内陸部での土壌の採取を行った。日本で捕集した大気エアロゾルとその発生源土壌の化学分析結果から、大気エアロゾル中に含まれているCa量のみで越境移動する土壌起源系エアロゾルを推定するよりも、非海塩性(Sr/Ca)比を用いて飛来量推定を行う方が確実であることが判った。日本で発生した大気エアロゾルの場合、非海塩性(Sr/Ca)比は0.004以下であるのに対し、大陸から土壌起源系(黄砂)エアロゾルが飛来した場合、その比が高く(0.004〜0.005)なった。この値は、中国の砂漠表層土中の比と良く一致した。
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