1997 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフォトンのもつ生長情報の解明と環境応答-生態パターンの環境応答と制御-
Project/Area Number |
09878108
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州大学, 工学部, 教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 弘高 九州大学, 工学部, 助手 (90221142)
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Keywords | バイオフォトン / 発芽・発根 / アレロパシー / チューリング・パターン / 植物ホルモン / 環境応答 / 生長評価 / バイオルミネセンス |
Research Abstract |
植物をはじめとする生物は、生長に伴い極微弱な光(バイオフォトン)を発光していることが最近になって知られてきた。しかし、その発光の示す意味情報については良く理解されていない。本研究では、そのようなフォトンの発光がどのような情報をもち、それが外部環境因子とどの様な関係にあるのかを調べ、そこから得られる情報を基に生態系の生長に及ぼす環境評価を確立するのが目的である。ところで、これまでの我々の研究によって、植物の発芽・生長過程に強いフォトンの発光が見られ、それが、生長の加速度や速度と強い相関があることが明らかとなっている。特に、そのような相関が各種の植物ホルモンの濃度と密接に関係しており、ホルモンの作用結果がフォトンの形で放射されているものと推測された。そこで、フォトン強度が植物ホルモンの生長制御を反映していることを確認するために、集団生長する植物生態系に対する内生ホルモンと外生ホルモンの効果および生長する個体の出すホルモンの影響(アレロパシー)を研究した。その結果、実験的に次のような事実が明らかとなった。(1)集団生長に際して、個々の植物の放出する生長促進・阻害物質の有効拡散係数を制御したところ、拡散が悪いほど生長は促進された。(2)早く生長する生態系ほど集団化し、生長パターンはクラスター化する。(3)外生ホルモンを投与すると、促進ホルモン(ジベレリン)の場合には均一な生長パターン(生態系)をつくり、阻害ホルモン(アブシジン酸)では生長パターンを局所化(不均一化)する。(4)イオンストレス(環境塩害)が加わると生長中の植物からのバイオフォトンの強度が強くなる。これらはそれぞれホルモンの競合拡散と活性作用から生じるものと考えられ、それを基にしたモデルを提案した。しかし、そのモデルの理論解析はまだなされておらず、実験との比較・検討やモデルの正当性は今後の課題である。
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Research Products
(1 results)