1997 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を捕捉する高分子を用いた農作物の土壌伝染性植物病害の防除
Project/Area Number |
09878113
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川端 成彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70025998)
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Keywords | ピリジニウム型高分子 / キュウリつる割れ病 / Fusarium oxysporum / トマト青枯病 / Pseudomonas solanacearum / 拮抗微生物 / Streptomyces lavendulae / おが屑 |
Research Abstract |
少量のピリジニウム型高分子をコーティングしたセルロース粉末をモデル汚染土壌に混合するとキュウリつる割れ病の発症が抑制されることを先に報告したが,この方法を用いてトマト青枯病の発症抑制を試みた。ピリジニウム型高分子としてN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドとスチレンとのモル比1:1の共重合体をおが屑に4.4重量%コーティングして用いた。病原菌としてPseudomonas solanacearumを用いた。滅菌した土壌に上記のおが屑と病原菌を混合して所定期間静置し,第2葉期のトマト苗を移植した。人工気象器を用いて栽培し,発病指数の減少率に基づいて病害の抑制率を評価した。病原菌濃度が2.2×10^6cfu/gの場合,上記のおが屑を10g/kg混合すると発病指数が84〜89%抑制された。病原菌濃度が1.0×10^7cfu/gの場合,上記のおが屑を10g/kg混合すると栽培期間が3〜4週間の時点では発病指数が75〜77%抑制されたが,栽培期間が6週間の時点での発病抑制率は11%であった。このように病原菌濃度が10^6cfu/g以下であれば高い抑制率が認められた。 一方抗菌微生物を利用して農作物の土壌病害を防除する試みが行われているが,効果が持続しない欠点があるので,抗菌微生物を上記のおが屑に捕捉してキュウリつる割れ病を防除する試みを行った。病原菌としてFusarium oxysporumを用い,拮抗性を示す微生物としてStreptomyces lavendulaeを用いた。滅菌した土壌に病原菌と拮抗微生物と上記のピリジニウム型高分子をコーティングしたおが屑を混合し,26日間静置した後に第2葉の苗を移植し,人工気象器を用いて栽培し,発病指数の減少率に基づいて病害の抑制効果を評価した。病原菌の濃度が1.2〜1.5×10^6cfu/gの場合,6週間後の発病指数は42であったが,拮抗微生物を併用すると発病指数は17に低下し,病害は60%抑制された。拮抗微生物と1g/kgの上記おが屑を併用すると,発病指数は0となり,病害は100%抑制された。
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[Publications] 川端 成彬: "ピリジニウム型高分子とStreptomyces lavendulaeを用いたキュウリつる割れ病の発症抑制" Annals of the Phytopathological Society of Japan. 63(3). 217 (1997)
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[Publications] 川端 成彬: "ピリジニウム型高分子を用いたトマト青枯病の発症抑制" Annals of the Phytopathological Society of Japan. 63(3). 253 (1997)