1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09878122
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大船 泰史 大阪市立大学, 理学部, 教授 (20142078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 哲郎 大阪市立大学, 理学部, 講師 (30271513)
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Keywords | スクアリン酸 / ウィティヒ反応 / オレフィン化 / スクアリル酢酸 / 脱炭酸 / スクアリルグリシン |
Research Abstract |
スクアリン酸は非ベンゼン系芳香族化合物であるとともに、有機二塩基酸として強酸性を示す化合物である。本研究者らはスクアリン酸の構造とその化学的諸性質がカルボン酸等価体とみなすことができることに注目し、スクアリン酸含有アミノ酸の開発を計画した。このようなアミノ酸類はグルタミン酸をはじめとする神経興奮性アミノ酸リガンドの化学研究にとって、新規な神経リガンドの候補として興味がもたれるとともに、チロシンなど芳香族アミノ酸類の等価体とみなすことができる。本年度は、(1)スクアリン酸に対する一般性の高い炭素・炭素結合法を見いだすとともに(2)スクアリン酸含有アミノ酸の合成を行ったので報告する。 (1)スクアリン酸骨格の熱や酸・塩基に対する化学的特性が未だ明らかでない部分が多く、一般性の高い炭素・炭素結合法は限られていた。そこで、温和な反応条件下で炭素鎖を導入する試みとして、いくつかの酢酸不飽和エステル型Wittig反応やHorner-Emmonsオレフィン化反応を試みた。その結果、対応する2-スクアリル酢酸エステルが高収率で得られるがわかった。また、得られた2-スクアリル酢酸エステルはマロン酸と同様な性質をもつ分子と見なすことができることから、エステル基を脱離させて得られるカルボン酸を加熱したところ、脱炭酸が起こり、2-メチルスクアリン酸が高収率で生成することがわかった。 (2)上述の知見は酢酸基とアミノ酸ユニットを同一分子内にもつ基質から発生させた酢酸エノレートを、まずスクアリン酸に付加し、ついで脱炭酸を行うことにより、目的としたスクアリルアミノ酸が合成できることを示唆した。そこで、保護グリシンのエノレートで付加反応を試みたところ、対応する付加物が高収率で得られた。ついで、酸処理では脱炭酸と保護基の脱離が同時におこり、目的としたスクアリルグリシンが合成できた。現在、本反応をアスパラギン酸やグルタミン酸に適用し対応するスクアリン酸含有アミノ酸類の合成を検討している。
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Research Products
(1 results)