1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁形成がG2/M進行をコントロールする分子機構
Project/Area Number |
09878158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20183767)
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Keywords | 細胞壁 / 酵母 / 細胞周期チェックポイント |
Research Abstract |
我々は、「酵母細胞壁の合成停止が核分裂の停止を引き起こす」ことを発見した。出芽酵母の細胞壁は主にグルコースが直鎖状に連結した1,3-β-グルカン繊維にマンノースが付加した細胞壁蛋白質が沈着して出来ている。その1,3-β-グルカンの合成酵素の触媒サブユニットの温度感受性変異株(fKs1)を単離し、その表現型を詳細に解析した。典型的な変異株であるfKs1-115は推定上の基質結合部位近傍に変異を持ち、in vitroでのグルカン合成酵素活性が特に制限温度下で顕著に低下していた。グルカン合成酵素の変異株が細胞周期の時期のとこで停止しているかを調べると、90%以上の細胞がDNA複製後に増殖を停止していることがわかった。この時に、細胞内におけるM期サイクリン、Clb2pの量が低下しているので、まだM期には進行していないことがわかる。さらにこの時にM期サイクリンであるClb2pを過剰発現させると、細の形態は異常なままで核分裂が進行した。以上の結果は、グルカン合成を阻害して細胞壁合成、細胞の体積増加ができなくなると、細胞周期を完全に停止させる未知のフィードバック機構が存在するとおを示唆している。細胞壁の形成は細胞の複製過程のうちで最も細胞の外側で起きる現象であり、それがフィードバックして細胞周期の進行に影響を与えるということは誰も予想し得なかった。しかし体積増加を伴う真核細胞の等分裂で、核分裂は十分に細胞内部の空間が保証された後で起きており、細胞壁で覆われた細胞(植物細胞と真菌細胞)にとって「細胞壁伸長が核分裂の開始を制御すること」は極めて理に適った機構であると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takita,Y.et al.: "Applications of the long and accurate polymerase chain reaction method in yeast molecular biology : Direct sequencing of the amplified DNA and its introduction into yeast." Yeast. 13. 763-768 (1997)
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[Publications] Sasamura,T.et al.: "Molecular cloning and characterization of Drosophila genes encoding small GRPases of the rab and rho families." Mol.Gen.Genet.254. 486-494 (1997)
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[Publications] Kawasaki,M.et al.: "Identification of three coke regions essential for protein splicing of the yeast Vma1 protozyme." J.Biol.Chem. 272. 15668-15674 (1997)
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[Publications] Nogami,S.et al.: "Probing structure and function of protein splicing element in the yeast VMA1 gene : intragenie suppression of Vma1 mutations." Genetics. 147. 73-85 (1997)
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[Publications] Kawasaki,M.et al.: "Protein splicing in the yeast Vmal protozyme : Evidence for an intramolecular reaction" FEBS Lett. 412. 518-520 (1997)
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[Publications] Kondoh,O.et al.: "Cloning of the RHOL geme from Candida albicans and its regulation of β-1,3-alucan synthesis" J.Bacteriol. 179. 7734-7741 (1997)