1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヤマトヒメミミズをモデルにした体細胞クローン個体作成の試み
Project/Area Number |
09878168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栃内 新 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20111148)
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Keywords | ヤマトヒメミミズ / 無性生殖 / 再生 / 有性生殖 / 発生 / 培養 / 顕微操作 / 始原生殖細胞 |
Research Abstract |
ヤマトヒメミミズを実験材料に,再生現象のみならず発生一般や形態形成における調節のメカニズムを探るための新しい研究系を構築することを目標に,平成10年度は再生研究にかかわるさまざまな実験方法の開発を行った.通常飼育している個体を,断頭あるいは数十Vの直流電流刺激することで無性生殖(断片化)が誘導できた.特に後者の方法では,正常な切断部位で断片化した自由な長さの断片を得ることができるため,研究上きわめて有益である.また有性生殖(交尾・産卵)を誘導するために,一ヶ月以上飢餓にした個体を,“星の砂"を混ぜ込んだ培地で低密度飼育することですべての個体を有性化させることができた.細胞の種類や分化程度を知るためのマーカーになることが期待される抗体や核酸プローブなどの検索を行った.プローブのスクリーニングは切片および新たに開発したホールマウント標本法で行い,検出には蛍光抗体・酵素抗体を用いた.不死細胞や生殖細胞系列あるいは高い分裂能を有する細胞にあることが予想される分子,アポトーシス関連の分子,神経系や中胚葉系列を検出するものについて検索中である.既知の無脊椎・脊椎動物用培養液(昆虫,ミミズ,カエル・オタマジャクシ,哺乳類)で体腔細胞を培養し,その適否を検討した.現在までのところ,いずれの培養液においても細胞の状態は一見良好に維持され数日間は生存することはわかったが,培地のなかでの増殖はみられていない.培養下でPKH26などの蛍光色素で生体染色した体腔細胞をマイクロマニピュレータにより体腔内に注射する試みを続けている.蛍光色素は体内でも数日間維持されるので細胞追跡も可能である.この技術は将来新成細胞などの未分化細胞を単離・培養することができるようになった場合に,その再生における役割を検討する際の有力な手段となる.また,その技術を利用して無性個体の有性化過程における始原生殖細胞の由来も検討する予定である.
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