1997 Fiscal Year Annual Research Report
GIPアンカー型表層顆粒レクチン:新しいCa^<2+>依存性細胞接着機構の発見と解析
Project/Area Number |
09878170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 一也 九州大学, 理学部, 助教授 (30150395)
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Keywords | アフリカツメガエル / レクチン / 表層顆粒 / GPIアンカー / 細胞接着 / ABO式血液型物質 / カドヘリン / 糖質 |
Research Abstract |
アフリカツメガエルのカルシュウム依存性細胞接着にはヒトのB型血液型物質が働いていることを明らかにした。これはABO式血液型物質が多細胞生物で機能を果たしていることを示す初めての研究である。B型血液型物質の付加されている糖脂質の構造決定を終え、さらにB型血液型物質が付加されている糖蛋白質の分析を二次元電気泳動を利用して行った。B型活性を持つ糖蛋白質としては1種類の膜蛋白質しかなく、その分子はGlycosylphosphatidyl inosito1 anchor型であることをphospholipase Cなどを利用した解析で示した。内部アミノ酸配列の解析からこの分子はアフリカツメガエルの受精の時、多精の拒否に働いている表層顆粒レクチンの相同分子であることが判明した。このレクチンは卵の周囲にあるαガラクトースをレクチンとして認識して沈殿し受精膜を形成する。この重要な働きを果たしているレクチンの相同分子がGPIアンカー型となってカルシュウム依存性細胞接着に働いていることが判明した訳である。B型血液型物質のαガラクトースとGPIanchor型B型蛋白質とのレクチン・糖鎖相互作用が細胞接着を支配しているという新しいモデルを提唱した。また決定した内部アミノ酸配列を利用してdegenerate primerを設計しPCRによってクローニング用のプローブを得た後、これを利用して胞胚期のcDNAライブラリーをスクリーニングして複数のクローンを得た。現在この配列を分析中である。 糖脂質はカルシュウム依存性細胞接着に関与していないだろうか。この分析のため胚細胞の表面から糖脂質を除去することを試みた。糖脂質を分解する酵素であるEndoglycoceramidase IIで胚細胞を処理するとカルシュウム依存性細胞接着は完全におさえられてしまった。このことは糖脂質と糖蛋白質の両方がカルシュウム依存性細胞接着に不可欠であることを示唆しており、詳細な分子的メカニズムの検討を行っている。
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