1999 Fiscal Year Annual Research Report
生物体のかたち形成につながる自己組織化的細胞パターン形成
Project/Area Number |
09878173
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
本多 久夫 兵庫大学, 経済情報学部, 教授 (10289118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 達三 九州共立大学, 工学部, 教授 (60069325)
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Keywords | 細胞モデル / 多角形パターン / バーテックスダイナミックス / コンピューター / 微分方程式 / 自己構築 |
Research Abstract |
1.二次元細胞バーテックスモデル:上皮組織中の細胞の幾何学モデルである細胞バーテックスモデルを使ってのコンピューターシミュレーションの結果を論文としてまとめつつある。内容は昨年報告したことのほかに、細胞のサイズをはじめから均一と仮定したものに比較して、ローカルにサイズが調整される局所平衡ダイナミックスを検討した。この過程を入れると、ローカルに大きく乱れる所が局所的に起こるが、最終的にはこの過程を考えないときよりも整った状態に達するという興味深い現象が見られた。 細胞の集まりの中に傷(空所)がある時、ひとりでに傷が修復される過程を二次元細胞バーテックスモデルで記述することが出来た。これは次の2つの学会で発表した。(1)長井達三・本多久夫「上皮細胞に於ける傷修復のダイナミックス」日本物理学会1999年秋の分科会(岩手大学、9/27,27aU-11) (2)Tatsuzo Nagai,Hisao Honda"Cell movement in wounded epithelial tissues" Tohwa StatPhys'99(11/8-12,1999;Fukuoka) 2.三次元バーテックスモデル:これまでは周期的境界条件を使い無限個の細胞が3次元空間につまっていたのであるが(これはあらためて学会[本多久夫・種村正美・長井達三「組織中の細胞の動きを記述する3次元多面体モデル」日本発生生物学会第32回大会、甲南大学・神戸市、1999 5/29 2 C 0945]で発表した。また筑波でおこなわれた国際会議KUS2で元欧州物理学会会長Prof.Denis L.Weaireと議論した),今年は100個程度の細胞が集まった3次元の細胞塊を取り扱えるようになった。細胞塊が力学的に(遠心力をかけて)平たく変形されたときに、中の細胞は一時的に平たくなるが、やがて細胞は元の形に回復する興味深い現象を、そのまま細胞塊を使ってシミュレーションする事が出来た(来る5月に高知市でおこなわれる日本発生生物学会第33回大会で発表予定)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 長井達三,本多久夫: "生物細胞組織形成の力学的モデル"日本物理学会講演概要集. 52・2. 732-732 (1997)
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[Publications] 長井達三,本多久夫: "上皮細胞形成の力学モデルII"日本物理学会講演概要集. 53・2. 762-762 (1998)
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[Publications] 本多久夫,種村正美,長井達三: "3次元組織構築学のための多面体細胞模型"生物物理. 39. s32-s32 (1998)
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[Publications] 本多久夫,種村正美,長井達三: "組織中の細胞の動きを記述する3次元多面体モデル"日本発生生物学会第32回大会発表要旨集. 26-26 (1999)
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[Publications] 長井達三,本多久夫: "上皮細胞に於ける傷修復のダイナミックス"日本物理学会講演概要集. 54・2. 280-280 (1999)
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[Publications] H.Honda,M.Tanemura,A.Yoshida: "Differentiation of wing epidermal scale cells in a butterfly under the lateral inhibition model"Acta Biotheoretica. 48. 121-136 (2000)
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[Publications] 本多 久夫(編著): "生物の形づくりの数理と物理"共立出版. 209 (2000)