1997 Fiscal Year Annual Research Report
凍結胚による効率的遺伝子操作マウス開発システムの確立
Project/Area Number |
09878202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所・寄付研究部門, 教員 (20217657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中潟 直己 東京大学, 科学技術振興事業団, 研究員 (30159058)
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Keywords | トランスジェニックマウス / ガラス化保存法 / 凍結保存 / 緩慢凍結保存法 / 前核期受精卵 |
Research Abstract |
遺伝子導入マウスを作成するためには、遺伝子を注入するための前核期受精卵と、遺伝子を注入した胚を移植するための仮親マウスが必要である。これらはあらかじめ確実に計画数を実現するのは難しく、どちらかが無駄になる場合が多い。そこで凍結卵を用いて、実験計画を単純化することを試みた。凍結卵に関して従来から利用されている緩慢凍結保存法は、多くの時間を要し、さらに高価な器機等を必要とする。そこで本研究では、我々が開発した簡単で迅速に凍結保存が可能な、ガラス化保存法を用い、前もって大量の前核期受精卵を凍結保存し、それらを融解し、操作を施し、Tgマウスを計画的に作成できないかを検討した。 体外受精により、約500個の前核期受精卵を作成した。次にそれらを室温で1MDMSO溶液に入れた後、0℃(氷水)で高濃度の凍結保存液を加え、さらに5分間0℃に保存してから液体窒素に浸漬し、凍結した。また融解は、試料を液体窒素中から取りだし、室温で60〜90秒放置後、37℃の0.25Mショ糖溶液を添加し、融解した。計画に従って融解した正常前核期受精卵にDNAを注入し、2細胞胚芽の段階で仮親マウスの卵管への移植により産仔まで発生させTgマウスを得た。得られた産仔は、生後約4週間で尾の一部から、DNAを採取しサザン法により、導入遺伝子の有無を調べた。 凍結融解により得られた正常な237個の前核期受精卵に遺伝子を注入した結果、遺伝子を注入した胚の約80%にあたる193個が正常な2細胞胚芽に発生した。次に発生した2細胞期胚の全てを仮親マウスの卵管に移植したところ、分娩後得られた産仔34匹の遺伝子解析の結果から、7匹(3.6%)のマウスに、導入遺伝子が確認された。
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[Publications] Koera,K., et al.: "K-Ras is essential for the development of the mouse embryo." Oncogene. 15. 1151-1159 (1997)
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[Publications] Mimura,J., et al.: "Loss of teratogenic response to 2,3,7,8-tetrachlodirobenzo-p-dioxin (TCDD) in mice lacking the Ah (dioxin) receptor." Genwe to Cells. 2. 645-654 (1997)
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[Publications] Areaki,E., et al.: "Targeted disruption of exon 52 in the mouse dystrophin gene induced muscle degeneration similar to that obsercved in Dechenne muscular dystrophy." Biochem Biophys Res Commun. 238. 492-497 (1997)
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[Publications] Nakao,K., et al.: "Simple and efficient vitrification procedure for cryopreservation of mouse embryos." Exp.Anim.46. 231-234 (1997)
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[Publications] Fukui,Y., et al.: "Positive and negative CD4+ thymocyte selection by a single MHC class II/prptide ligand affected by its expression level in the thymus." Immunity. 6. 401-410 (1997)