1997 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ胚性幹細胞の増殖を促進する因子の同定と魚類胚工学への応用
Project/Area Number |
09878203
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
兵藤 昌雄 東海大学, 開発工学部, 教授 (60096253)
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Keywords | メダカ / 胚性幹細胞 / 細胞培養 / トランスジェニック動物 / フィーダー細胞 / キメラ動物 |
Research Abstract |
われわれの研究室では,日本産のメダカを材料として,胚性幹細胞を培養する条件を明らかにし,それを応用することで,トランスジェニック魚を作成する方法を確立することを目的として研究を行っている.魚類においては,哺乳類のLIFは効果がなく,また同様の機能をもつ因子は見いだされていない.したがって胚性幹細胞の増殖に必要なフィーダー細胞や増殖因子を見いだし,トランスジェニック動物を作成できるような胚性幹細胞を培養する方法を開発することが重要な課題である. 9年度の研究目標は,メダカ胞胚期の胚より分離した胚性幹細胞の増殖を促進する条件を見いだすことにある.このために,現在継代培養している数種のメダカ胚由来の細胞株を材料に用いて,細胞増殖に最も適した条件について検討する研究を行った.これまでに,組成の異なる各種の培地,培養用のフラスコまたはシャーレの容器,培地中に加えるNaHCO_3の濃度とCO_2インキュベータまたは恒温槽の組み合わせ,培養に用いるウシ胎児血清の濃度,等について検討した.そしてこれまで当研究室で用いていた条件が必ずしも最適ではなかったことが明らかになった.また,ここで見いだされた条件下で継代細胞をフィーダー細胞として用い,メダカ胞胚期の胚より取りだした胚性幹細胞を培養し,それを別の胚に移植してキメラ作成能を検討する研究も継続して行っている.フィーダー細胞として用いている細胞のみを移植すると,多くの胚に奇形が発生する事がわかり,新たに解決するべき問題点として胚性幹細胞を移植する際にフィーダー細胞と分離しなければならないことが明らかになった.10年度においても,これらの点を解決しながら,目標の達成に向け研究を継続する.
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