1998 Fiscal Year Annual Research Report
医療高分子材料の血液適合性機構の分子レベルからの解明
Project/Area Number |
09878208
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
松浦 弘幸 政策研究大学院大学, 政策研究プロジェクトセンター, 助教授 (30262116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正博 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (70141744)
満渕 邦彦 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (50192349)
井街 宏 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10010076)
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Keywords | 分子力学法 / 原子電荷 / フラクタル次元 / 仮想ポリウレタン / 電子密度 / 人工生体材料 / ファジー関数 / 血管内の流れ |
Research Abstract |
(1) K-III(ウレタン-ジメチルシロキサン)製人工弁に関する構造分析 本年度は,Jellyfish弁の材料であるK-III(ウレタン-ジメチルシロキサン)に対する小角散乱実験の結果を,数値的に解析し,高分子構造および物性の解明をしようとした. 解析方法としては,マックウェルの粘弾性体モデルに基づく人工弁の簡易構造モデルとフラクタル次元解析,分子力学法による高分子の立体構造モデルの作成,半経験的量子力学にを用いた原子電荷,電気陰性度,電子密度等に基づく蛋白沈着性との関連を議論した.また,分子力学法の結果を利用して,仮想ポリウレタン膜を構成し,散乱理論から予測される予測値と比較した.これにより,慢性疲労に関しては,過重負荷の初期段階では,ポリウレタン膜の圧縮と伸展の比率で電子密度が決定される.しかし,十分な時間経過後には、膜の構成高分子の伸展が進み,単位体積中の電子密度が減少する.さらに、ポリウレタンの軟化材である,ジメチルシロキサン中のシリコンが,強度の正の原子電荷を持つために,この部分が蛋白沈着に重要な役割を果たすと考えられる.また,一般に行われている加速耐久試験では,生体内の人工弁の疲労を模擬できておらず,むしろ,200g程度の過重による慢性疲労実験の方が望ましいといえる. (2) 管中の弁近傍の流れの解析 昨年の研究では、管内に弁が存在する場合の流体の方程式をファジー関数を用いて解析した.しかし,解の安定性が不充分であるために圧力図に不自然な個所を生じた.今年度を,この点を解消するために,差分法を改善した.これにより,整合性のある解が得られた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 苅田達郎・松浦弘幸: "生体適合材料の疲労のX線解析" 第27回医療高分子シンポジウム論文集. 5-6 (1998)
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[Publications] 岩崎清隆・松浦弘幸: "X線回析実験によるJellyfish弁の弁葉破壊挙動の解明" 第10回バイオエンジニアリング講演会論文集. 97(72). 181-182 (1998)
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[Publications] 松浦弘幸・中野正博: "生体適合材料の動力学的研究" 医用電子と生体工学(第37回ME学会). 36. 628 (1998)
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[Publications] 松浦弘幸: "高分子生体材料の機械的疲労に関する研究" 人工臓器. 27(4). S-73 (1998)
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[Publications] 松浦弘幸・中野正博: "生体材料の疲労の解析・X線解析と分子動力学法" 第20回日本バイオマテリアル学会予稿集. 148 (1998)
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[Publications] 井街宏・満渕邦彦: "波動二型完全人工心臓ヤギの埋め込み実験評価" 人工臓器. 27(4). S-28 (1998)