1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯果樹類の生殖機構における適応戦略の比較研究に関する国際共同研究の企画調査
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09896001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00026379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 直樹 近畿大学, 農学部, 教授 (60026622)
久保田 尚浩 岡山大学, 農学部, 教授 (70033272)
仁藤 伸昌 佐賀大学, 農学部, 教授 (80015809)
山下 研介 宮崎大学, 農学部, 教授 (70041035)
岩堀 修一 筑波大学, 農林学系, 教授 (00012055)
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Keywords | 花成誘導の周期性 / 花器構造 / 不和合性 / アポミクシス / 生殖戦略 / 結実機能 / アグロフォレストリー |
Research Abstract |
熱帯果樹類は、熱帯の過酷な自然条件下で安全に子孫を維持・増殖してゆくための生殖機構にすぐれた適応戦略を発達させていることが予想されるが、その実態はまだ科学的に殆ど解明されていないといってよい。これらの生殖機構の適応戦略を種々の樹種について法則性を見い出すことは、熱帯果樹生産を高めるうえからも、熱帯果樹の遺伝資源保存のうえからもきわめて重要である。本研究は、熱帯果樹の分布・栽培地である熱帯圏諸国の研究者と共同研究を推進してゆくことを前提として、生殖機構の適応戦略として考察すべき基本的項目について検討を行ったものである。基本的項目として花成誘導の周期性、花器構造と受粉・受精機能、不和合性とアポミクシス、結実機能(シンク・ソース関係)、実生繁殖と幼若性、および栄養繁殖性の6項目を抽出し、それぞれの意義と研究の取り組みについて論議したのちに、総合的な検討を行った。花成誘導の周期性は同一樹種でも熱帯圏内で大きな差異があることより、それを支配している環境要因を解明するとともに、人為操作によって調節することの可能性を検討すべきであること、また、花器構造と受粉関係については、不和合性を性表現との関係より追求すべきであり、かつ、recalcitrant seedを形成する樹種ではアポミクシスを含めた生殖戦略に焦点を当てて取り組むべきであることが強調された。結実機能については熱帯果樹の重要な生産様式のひとつであるアグロフォレストリーの視点からの取り組みが見逃せないとの指摘がなされた。 以上の検討結果を踏まえ、多湿気候の東南アジアを起源地とする熱帯果樹の生殖戦略の特徴を、対照的な気候である中央・南アメリカ原産の熱帯果樹と対比させて解明することが重要であるとの結論に達した。なお、研究分担者4名を海外に派遣し、本研究課題の海外パートナーとしてインドネシア、マレーシアおよびタイから数名の協力者を得た。
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