Research Abstract |
RSとGISを援用して衛星画像(1978年,1991年,2000年)を時系列的に解析し,カトマンズ大都市圏における都市化の空間的拡大を地図化するとともに,自然環境や社会的属性に焦点をあて土地利用変化の要因を探った.セルオートマトンを適用した空間シミュレーションによって,将来の土地利用(2010年と2020年)の推定を試みた.具体的には,土地利用の変容をもたらしたドライビングフォースとして,自然特性に関しては,傾斜,河川へのアクセス,道路へのアクセス,都市集落へのアクセス,道路へのアクセスを,また社会的属性については人口増加を変数に選択し,GIS分析を行った.キャリブレーションの結果,適用モデルの適合度は良好であり,これらが土地利用変化の重要なファクターであることがわかった. 2009年夏には2ヶ月近く,カトマンズで地域調査(聞き取りおよびアンケート調査)を実施し過剰都市化の原因を探った.フィールドワークを通して,慢性的に就業機会に恵まれない農村部から雇用機会の恵まれた都市部へと大量の人口が流れ込んでいる実態が浮かび上がった.地方から移動してきた貧しい人々は,まず都市郊外において野菜栽培や煉瓦工場で働き,経済力がついた1,2年後に家族や親類を呼びよせるという,チェーンマイグレーションの空間的構造が確認できた.大都市圏において工業が発展せず,また都心部でオフィス需要が伸び悩んでいることが,経済成長を遅らせる最大の原因になっている. 次年度は,過剰な都市化を緩和する政策を追究し,シナリオ分析によりカトマンズ大都市圏の将来のあるべき姿を提示することを目標に据えている.このため,現在はARCGIS(地理情報システム)を活用した空間的予測モデルの構築を行っている.
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