2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける有機エアロゾルの生成とその物理化学特性の解明
Project/Area Number |
09F09217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Xianyun 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | エアロゾル / ブラックカーボン / 航空機観測 / 東アジア / 気候影響 |
Research Abstract |
(1)我々はレーザー誘起白熱法、フィルター光吸収法のブラックカーボン(BC)測定において、共存する有機エアロゾルを400℃で加熱・揮発させ、この干渉効果を除去する方法をとっている。この加熱により有機エアロゾルが炭化しないことを実験的に示すことが高精度のBC測定には必要である。そのために10種類の水溶性有機化合物を測定した。3種類の糖類物質、ブドウ糖、サッカロース、3種類の二塩基酸、芳香族の酸、3種類のフミン酸物質を試験した。エアロゾル粒子を噴霧装置により発生し、加熱インレットを通過させ、光吸収を利用したブラックカーボン自動連続測定器に導入し、BC濃度を測定した。これらの有機物は加熱により吸光性がほとんど見られないことが分かった。この結果をAST誌に出版した。さらにこの加熱温度を800℃に上げるために石英管を用いたシステムを製作した。これを用いてフミン酸物質の揮発温度特性を詳細に測定した。 (2)BCは太陽放射を吸収し、大気の加熱を通じて、地球の放射収支に大きな影響を与える。2000年にアジアはBCの最も大きな発生源であり、アジアにおけるBCの分布・輸送機構の理解は重要である。長野県八方(1800mASL)において、COSMOSを用いて、BCの質量濃度を2年間連続に観測をしてきた。このデータを解析した。BC質量濃度は、春季に最大値、夏季に最小値に達した。3次元シミュレーションモデルを用い、BCの質量濃度を推定し、実測したBC質量濃度と比較した。また同様の比較を、沖縄県の辺戸岬観測所で得られたBCの濃度に対して行った。両地点でのBCのモデル再現性は比較的に良く、BCの輸送効率が精度良く計算されていることを示している。
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Research Products
(3 results)