2010 Fiscal Year Annual Research Report
中間圏・熱圏下部における大気力学過程とその電離層擾乱への影響に関する観測的研究
Project/Area Number |
09F09232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NARUKULL Venkateswara Rao 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 赤道大気 / 中間圏・熱圏下部領域 / レーダー観測 / 大気重力波 / 波動・平均流相互作用 / インドネシア |
Research Abstract |
地球環境と惑星間宇宙の接点とされている、中間圏・熱圏下部(高度60-150km、Mesosphere Lower Themosphere ; MLT)における大気力学過程のレーダー観測が主課題である。とりわけ、特性が未解明である赤道域のMLT領域に焦点を当て、インドおよびインドネシアで1990年代から連続運用している流星レーダーと中波帯(MF)レーダーの風速データを用いた。赤道MLT領域の風速変動には、1日周期およびその高調波の大気潮汐波、赤道域特有のケルビン波をはじめ多種の大気波動が含まれている。また、1年・半年周期および数十日の長周期変動が現れる。これらの大気波動の励起・伝搬・減衰過程、および波動と背景風との相互作用を解明することが重要である。 平成22年度は、特に、周期数分から数日に連続スペクトルとして現れる大気重力波の時間変動特性を解析した。インドネシア西ジャワのPameungpeuk MFレーダーにより2005-2010年に得られた東西および南北水平風から変動周期が20-120分の成分を抽出し、風速変動の分散値を求めた。これは短周期大気重力波の力学エネルギーに相当する。大気重力波は下層で励起され、MLT領域まで力学エネルギーと運動量を効率良く上方輸送し、大気大循環を駆動する重要な役割を果たすとされている。しかし、短周期大気重力波の特性には未解明の点が多い。この研究では、重力波の力学エネルギーが一日周期で変化し、また季節変化では1-3月に最大となる1年周期が卓越することが分かった。さらに、その周期性が下層大気における積雲対流活動と良い相関を示すことが明らかになった。 この結果をインドにおける同様のレーダー観測と比較するため、現地におけるデータ収集ならびに研究成果の情報交換を進めた。これらの研究成果を国際学術誌に論文公表した。
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Research Products
(6 results)