Research Abstract |
前年度の成果に基づき,本年度は気相-液相界面プラズマの放電特性を詳細に調べることで生成メカニズムを解明するとともに,バイオ応用が期待される金ナノ粒子がコアでDNAがシェルである新規コアシェル型ナノ粒子を制御して合成した. 1.イオン液体を液相電極としたパルス放電により,大気圧から10Pa程度の減圧下の広い圧力範囲において,気相-液相界面放電プラズマを生成することに成功しているが,このときの放電電圧-放電電流特性,及び放電開始電圧-ガス圧力特性(パッシェン曲線)を詳細に調べた結果,400Paよりも低ガス圧力領域ではカソードの二次電子放出係数が,それ以上の高ガス圧力領域ではタウンゼンド一次電離係数が主に放電に寄与していることが初めて明らかになった. 2.負パルス放電の場合には,ガス圧力の増加とともにプラズマ密度が増大し,大気圧では10^<14>cm^<-3>程度になることが分かった.一方,正パルス放電の場合には,プラズマは生成されているが密度が負パルス放電時と比較して2桁程度低いことが明らかとなった.これは,正パルス放電時にはプラズマ径方向中心領域の空間電位が100V以上になっており,周辺領域との電位差でプラズマが急激に周辺領域へ拡散したためであると考えられる. 3.DNA水溶液に金塩化物を溶解させ,それを電極とした気相-液相界面プラズマを生成することにより金-DNAコアシェル型ナノ粒子を形成し,このときのDNA濃度を増加させることによって,金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴吸収波長が長波長側にシフトするが,濃度が閾値(約1.5μM)を超えると,反対に短波長側にシフトすることが明らかとなった.これは,負電荷を有するDNAが金ナノ粒子表面上の正電荷を遮蔽し凝集を助長する効果とDNAシェル膜厚の増加に伴う金ナノ粒子間距離が増加する効果で説明できることを示した.この結果,金-DNAコアシェル型ナノ粒子の光学的特性が自在に制御可能であることが明らかとなった.
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