2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 薫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOTSTEDT ErikV 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | レーザー・分子相互作用 / 数値シミュレーション / 古典的モデル / 分子ダイナミクス |
Research Abstract |
2009年9月より東京大学の山内薫教授、加藤毅准教授とともに開始したこの研究は、短くて強いパルスに曝されたごく小さい分子中の電子や原子核の動きを理論的に解明しようとするものである。このような複雑な過程を理解するには、実験による測定のみでなく、理論的モデルを組み立てることも重要である。 分子の時間依存量子シミュレーションは、困難であるか、または実行不可能であるため、強光子場での分子の相互作用については全く新しいモデルを提案した。すなわち、分子中の粒子をすべて古典力学的に捉え、分子ダイナミクスの過程はニュートンの古典運動方程式を経るとすることである。古典的な運動方程式は、量子力学の場合の偏微分方程式ではなく、常微分方程式であるため、コンピューターでの数値積分は単純である。また、原子とレーザーの相互作用による現象は、量子力学的ではなく古典的に捉えられることが多いため、分子の場合にも古典的方法を用いることができると考えた。分子ダイナミクスと称されることの多い古典的シミュレーションの方法は、通常、分子と分子の間の相互作用に用いられるものであるが、敢えて、レーザー場中でドライブされる、分子中の電子-原子核の相互作用に用いることとした。 2009年度における研究では、上述の古典的な方法に基づき、シミュレーションのためのコンピュータコードを構築することを目標とし、それをほぼ達成することができた。特に、原子物理の分野で用いられたモデル(Kirshbaum and Wilets, PRA21, 824(1980))が分子と光との相互作用の説明にも適用できることがわかった。このモデルを詳細に検討し、さまざまなパラメータモデルで試し、できるだけ現実の分子に近いパラメータ集合を得る作業を繰り返した。コンピュータコードは、山内研究室のワークステーションで作成し、テストを行った。また、H3+の分子についてシミュレーションを走らせ、結果を最近の実験データと比較した。この結果については、現在論文を執筆中である。
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