2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン・ナノチューブ系ナノワイヤデバイスの超効率的理論設計法とその応用
Project/Area Number |
09F09239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 百合子 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOBODA Oleksandr 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノチューブ / カーボン60 / 非線形光学特性 / 分子軌道法 / 量子化学計算 / 局在化軌道 / ポルフィリン / ワイヤ |
Research Abstract |
平成23年度においては、非局在化したナノ系に高精度高効率で演算する手法を開発した。ナノチューブなどの強いπ電子系において、自動的に必要なπ軌道を自動認識してActive領域に取り込むOrbital Shift methodを構築した。Elongation法の計算過程で、非局在化したπ軌道など幾つかの状態だけは、局在化をする代わりにきちんと取り込む手法を導入し、高精度の全エネルギーが自動的に得られるように改良された。結果の確認として、カーボンナノチューブなどバンドギャップが殆どない系に対して、どれくらいのサイズまで高精度で演算できるかを試行演算を行なった。応用例として、末端にフラーレンやポルフィリンがポリアセチレンなどのπ共役系で連結されている系、ポルフィリンが平面で連結されたFused Ladder systemなどの強いπ電子非局在化系に対して演算可能かどうかも検討し、演算時間において改良の余地があるものの、全エネルギーの精度は2~4桁改善され、従来法で不可能な長さも演算可能となることがわかった。特に取り扱い困難なPure Crabonからなるナノチューブ系に適用し、10^<-7>a.u./atomの誤差を実現した。よって、電場下における全エネルギーの高次微分にも精度的に十分耐えうるものとなり、非線形光学特性計算が可能となった。別の応用として、ドナーとアクセプタが非局在化したワイヤの両端についたPush-Pull系に対して、中心部ワイヤのバンド構造を抽出できるように発展させている。例として、末端にフラーレンやポルフィリンがオリゴチオフェンやOTEなどのπ共役系で連結されている系やmeso-mesoおよびFused型のポルフィリンアレイに対して演算可能かどうかを確認したところ、結果は良好であるものの、ワイヤー部を十分長いサイズをとって計算する必要があることが判明している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初より、ナノ系に応用するにあたり、π軌道などを含む非局在化系に対してElongation法が適用しうるかどう不確定要素があったが、非局在軌道を自動的に必要なを自動認識してActive領域に取り込むOrbital Shift methodを構築したことにより、計算精度が大幅に向上し、応用範囲を広げることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は昨年度が最終年度であったため一区切りとなったが、問題解決のために予定外の方法を構築して幾つかの系に対してテスト計算をした段階であるので、今後実際の材料設計に結び付くような機能解析法と結合することにより、種々のナノ系に対して応用範囲を広げていく予定である。
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Research Products
(3 results)