2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機エレクトロニクスに向けた新規なドナー-アクセプター化合物の開発
Project/Area Number |
09F09255
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 敬郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Shiyan 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機エレクトロニクス / 有機トランジスタ / 有機半導体 / 機能材料 / 合成化学 / 電子受容体 |
Research Abstract |
フロンティア軌道エネルギーおよび分子間相互作用を考慮して、ドナー-アクセプター化合物を基本骨格としたπ拡張電子系を設計・合成して高性能の有機半導体を開発して、薄膜有機電界効果トランジスタ(OFET)に応用した。本研究では高いキャリア移動度を示す半導体を開発するとともに、物性と分子構造の関係を究明し、高性能を示す分子設計の指針を明らかにすることを目的とした。具体的には3,6-ジアリールチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジオン誘導体を合成し、n型半導体特性を調べた。アリール基としてトリフルオロメチルフェニル基の導入が、電子受容性の増大ならびに結晶性をよくすること、分子を基板上に配列することに有効であった。合成した半導体を用いたFETは高い電子移動度を示すことが明らかとなった。さらに、大気下で不安定であるので、電子受容基としてジシアノメチレン基の導入を行い、大気安定性の向上に成功した。また、化合物の溶媒に対する溶解性の向上のため長鎖アルキル基を導入した。アリール基に電子供与性のチオフェン環ユニットを挿入し、ヘテロ環アクセプターとオリゴチオフェンとのハイブッリド化合物で両者の利点を併せ持つドナー-アクセプター型の化合物の合成も試みた。また、ベンゾキノンにチオフェン環を縮環した化合物を合成し、チオフェン環にアリール基やアルキル基の導入を行った。この物質を半導体として用いて、溶液法で10^<-2>cm^2/Vsの移動度が得られた。分子構造ならびに分子間相互作用は、単結晶X線結晶構造解析で解明し、薄膜構造はX線回折ならびにAFM測定で調べた。フロンティア軌道エネルギーは電気化学的な酸化還元電位の測定と、吸収スペクトルにより見積もり,DFT計算により、理論的な考察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数種の新規なn型半導体の合成に成功し,これらを用いてn型のトランジスタを作製することができた。また、この結果を学術雑誌に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
特別研究員の研究期間が終了し、研究員はDonghua大学(中国)に戻った.今後,共同研究を行い,新規な有機半導体を合成して高性能の有機トランジスタを開発して行く予定である。
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Research Products
(1 results)