2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体中の自己組織化プロセスに基づく新しいナノ界面材料の開発
Project/Area Number |
09F09259
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 静 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 希土類錯体 / 自己集合 / 発光 / ナノ界面 |
Research Abstract |
本研究は、配位不飽和なランタニド錯体を親水基とする新しい分子集積型インターフェースを開発し、生命分子(親水性アニオン)との相互作用によって,発光が特異的に増大するナノ界面としての特性を実現することを目的とする。 当該年度は,疎媒部として長鎖アルキル基,親媒部として2つのピコリン酸基を有する両親媒性配位子を新たに分子設計・合成した。この両親媒性配位子は水中で会合体を与えないが、Tb(III)イオンを添加すると、定量的に1:1錯体を形成することを分光学的手法により明らかにした。また、このTb(III)錯体は、一本のアルキル鎖しか有さないにもかかわらず、水分散液の透過型電子顕微鏡観察において、ベシクル構造を与えることが明らかとなった。従来、一本鎖型の両親媒性化合物はミセル程度の柔らかい構造体しか与えないが、Tb(III)錯体間の相互作用が大きいことを意味している。次に、リン酸基を含むヌクレオチドなどの生命分子とTb(III)錯体ベシクルの相互作用について検討した。これらの生命分子がテルビウムイオンに配位した水分子と交換することにより、錯体の発光量子収率が著しく増大するものと期待された。系統的にヌクレオチドとの相互作用を蛍光分光法により評価したところ、ATPの結合により著しい発光強度の増加が観測された。AMPでは全く発光増強が観測されないこと、またADPではATP添加時の約50%程度の発光増強が観測された。これらの結果は、自己組織性を付与した配位不飽和のランタニド錯体が、分子集積型センサーとして機能すると結論づけられる。このように,ランタニド錯体の水中アセンブリを用いて,蛍光増強型のバイオセンシングナノ界面の機能化学における新しい展望を拓くことができた。
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