Research Abstract |
遠隔地や大規模な農場の運営では,灌漑等の農作業の計画を適切に作成することが重要となる.農作業計画作成のために,農場の状態をリモートセンシングにより観測し,農作物の状態を解析する手法が注目されている.しかし,解析に必要な全ての情報をリモートセンシングにより入手できるわけではない,不足するデータを推定するためには長時間の計算が必要となるという問題があり,実用化への妨げとなっている.本研究では,リモートセンシング技術と情報技術を融合することにより,遠隔地の農作物状態を推定する技術を確立することを目指す.具体的には,リモートセンシングデータでは不足するデータを高速に推定する技術を開発する,また,リモートセンシングデータベースと連携して,不足データ推定を高速に実行するためのソフトウェアを開発する. H22年度は,衛星画像データの画像処理および可視化のために必要となるソフトウェアであるGRASS GIS中のモジュールを高速に実行するため,PCクラスタ上でのプログラム並列化を行った.具体的には,同モジュールを並列化プログラミング手法であるOpenMPおよびMPIを用いて並列化し,両者の性能比較を行った.また,農場の衛星画像データから雲などのノイズを取り除く処理を高速に実行するため,LMF手法を用いてノイズを取り除く処理をグリッドコンピューティング環境上に実装し,国立情報学研究所,東京工業大学,北海道大学の計算機を用いて評価実験を行った. 次に,実証実験に必要なデータの調査として,平成21年度より行っている山形県内の水田地帯のフィールド調査および気象データ調査を進め,農作物の状態解析モデルであるSWAP (Soil Water Atmosphere Plant)モデルに必要な環境データの入手方法に関する検討を行った.
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