2011 Fiscal Year Annual Research Report
MBE成長した窒化インジウム及び関連混晶の構造及び光学的物性評価に関する研究
Project/Area Number |
09F09272
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
WANG Ke 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー
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Keywords | InN / InGaN / RF-MBE / p型ドーピング / サーモパワー / ECV / 選択成長 |
Research Abstract |
InNおよび関連混晶材料であるInGaNの光学的・構造学的・電気的特性とその成長メカニズムについては未だ不明な点が多い。最適な成長条件を見出し、電気的・光学的特性の改善を図るためには緻密で基礎的な研究が必要である。 本年度は、RF-MBE法を用いて作製したMgドーピングInGaN結晶の電気的特性評価に関して評価を行った。InリッチInGaN(In組成約90%、80%)、GaリッチInGaN(In組成 約10%、20%)に対して、Mgセル温度を変化させることで、異なるドーピング濃度のMgドーピングInGaN混晶を作製した。GaリッチInGaNについては、ホール効果測定によってMgドーピングによるp型伝導を確認することができたが、InリッチInGaNにおいては、表面電荷蓄積層の影響によるp型伝導を示す結果は得られなかった。しかしながら、サーモパワー測定、ECR測定の結果、InリッチInGaNにおいても、p型伝導を示唆する結果が得られており、最適なMgドーピング濃度にてバルク内部でp型領域が存在していることが示された。 次にInN結晶の高品質化技術として、AINをナノマスクとして用いたIhNの選択成長技術を開発した。サファイア基板上にAINを数秒間成長させた後、IhN低温バッファ層を成長させると、N極性とIn極性のIhNが混在して成長する。その後、580度まで基板温度を上げることで、N極性lnNのみの選択成長が実現された。その過程において、刃状転位転位密度が10^9/cm^2程度に一桁近く低減した。また、X線半値幅、キャリア濃度、移動度、PL発光半値幅などにおいても改善が見られた。本手法は、従来、結晶高品質化が困難であったサファイア基板上N極性InNにおいても、光学的・構造学的・電気的特性を大きく改善する効果が期待できる結晶成長技術となろう。
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