2011 Fiscal Year Annual Research Report
実態に即した気孔応答モデルを導入した全球気候-水循環シミュレーション
Project/Area Number |
09F09289
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大槻 恭一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 在一 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 気孔コオンダクタンス / 流出量 / 陸面モデル / キャノピー / スケールアップ / 散乱日射 / 衛星データ / 砂漠化 |
Research Abstract |
本研究では次の4つの課題に取り組んだ:(1)植生地に対する気候変化の影響,(2)表面におけるエネルギー配分に気孔コンダクタンスが与える影響,(3)群落構造が生物圏と大気圏の相互作用に及ぼす影響,(4)森林流域からの流出に降水量と気温が及ぼす影響. (1)1980年代および1990年代においてアマゾンの一部の地域では,正規化植生指標NDVIと大西洋海面水温SSTの間に強い相関関係があることが明らかにした.さらに,1981~2001年の12月~2月(雨季)の年変動から,2か月および1年間の時間的遅れでNDVIは大西洋SSTと強い相関があることを見出した. (2)25のFLUXNETサイトのデータ(60サイト年)を用い,ボーエン比(β:潜熱フラックスに対する顕熱フラックスの比)は空気力学および気候学的抵抗パラメータによって正規化されたバルク表面抵抗と線形関係があり,その傾きと切片は気温に依存することを明らかした. (3)アルベド(α)と空気力学的粗度長(Z_0)は,生物圏と大気圏の相互作用および気候変動性に関する重要な地表面特性であり,地表面のエネルギー収支を支配する.αとlogZ0の間に負の相関があることが見出された.この研究成果はZ0を高い精度で推定することを可能にする貴重なステップである.例えば,衛星リモートセンシングを用いた地表面の特性のパラメータ化やz0の推定に利用できる.(4)5つの連続系AOGCMs (Atmosphere-ocean General Circulation Models)は異なるΔQ=0線の分布を示し,これはモデル間で水収支に影響を及ぼす様々な因子の支配的な感受性が異なることに起因することを明らかにした.本研究成果は気候変動に伴う水資源の予測に役立つとともに,AOGCMの将来予測における水文現象の解釈に役立つと考えられる.
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Research Products
(3 results)