2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネの品種間差を利用したヒ素の吸収と蓄積についての分子生理学的解析
Project/Area Number |
09F09322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUAN Guilan 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / ヒ素 / トランスポーター |
Research Abstract |
本研究はヒ素の蓄積や輸送に違いを示す各種イネ品種を用いて、農業上有用なヒ素低減遺伝子を同定することを目的として開始したものである。これまでにシロイヌナズナやイネを用いた分子遺伝学的研究によって、ヒ素の輸送や蓄積、耐性に関与する遺伝子が同定されてきている。ヒ素は基本的には毒物であるため、植物はヒ素特異的な吸収(取込み)のためのトランスポーターは持っていないと考えられている。例えば、シロイヌナズナのヒ酸を輸送するトランスポーターは本来は化学的に似たリン酸を本来の基質とするし、亜ヒ酸を輸送するトランスポーターは化学的に似たケイ酸を本来の基質としている。昨年度までにイネにおけるヒ酸輸送を担う分子の同定を目指してイネのリン酸トランスポーターの中からヒ酸輸送を担う可能性のあるリン酸トランスポーター遺伝子の変異株を入手しヒ酸吸収が低下していることを確認ていたが、今年度はこの変異株にリン酸トランスポーター遺伝子を導入し直して表現型が回復することを確認した。これによってリン酸トランスポーターがヒ素吸収に重要であることが示された。また、イネに酵母由来の排出型亜ヒ酸トランスポーターを発現させる実験については、昨年度までに得られていた形質転換系統について、ヒ素の排出活性があるかどうかを調べたところ、ヒ素の排出活性が高まっていることを明らかにした。これにより、ヒ素低減の新たな手法を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は最終年度にあたりリン酸トランスポーターがヒ素吸収に関与していることを証明するデータを得ただけでなく、ヒ素低減手法を確立することができ、当初の計画以上の達成度であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は本年度が最終年度であり、目的とする結果は得られていることから、今後は論文としての発表に至る様に努力して行きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)