2010 Fiscal Year Annual Research Report
バベシア原虫感染に対する宿主防御免疫機構の解明と新規ワクチンの開発
Project/Area Number |
09F09338
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西川 義文 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TERKAWI M.H 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | Babesia microti / 防御免疫 / 組換えワクチン / cDNAライブラリー / イムノスクリーニング |
Research Abstract |
本研究では、新興人獣共通感染症の原因原虫でもあるネズミバベシア原虫(バベシア原虫属の実験モデル原虫として知られる)に焦点を当て、宿主防御免疫機構の解明と新規組換えワクチン開発を試みる。本年度に実施した研究内容と得られた研究成果は以下の通りである。 1.宿主防御免疫機構の解明:IFN-γ欠損マウス、機能性T細胞とB細胞を欠失しているSCIDマウス、NK細胞を人為的に排除したマウス、およびマクロファージを人為的に排除したマウスにそれぞれBabesia microtiを感染させたところ、いずれのマウス群でも免疫健全マウス群と比べパラシテミアの有意な上昇が認められ、IFN-γ、T細胞/B細胞、NK細胞、およびマクロファージ細胞がそれぞれバベシア感染防御に重要な役割を果たしていることが示唆された。そのなかでもマクロファージを排除したマウスにおけるパラシテミアの上昇が特に顕著で、一部のマウスは死に至った。この結果より、種々の免疫担当細胞のなかでもマクロファージ細胞は宿主の感染防御においてもっとも重要な役割を果たす可能性が示唆された。 2.ワクチン候補遺伝子の同定・クローニング:ネズミバベシア原虫と進化的に近縁な多くの原虫でワクチン候補の一つとして知られているApical Membrane Antigen 1 (AMA1)の同定とクローニングを試みた。他の近縁原虫で保存されている領域にプライマーを設計し、デジェネレートPCR法にて標的遺伝子の増幅を行ったところ、Babesia microti由来のAMA1遺伝子(BmAMA1)の同定・クローニングができた。
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