2011 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブや有機ゲル線維のような1次元超構造より機能材料を創製する
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09F09754
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
新海 征治 崇城大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ADAM SOBCZUK 崇城大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 超分子ゲル / 分子認識 / ゾルゲル相転移 / 刺激応答 / クラウンエーテル |
Research Abstract |
クラウンエーテル骨格を両端に有する双頭型オリゴチオフェン分子が有機ゲルを形成することをすでに見出している。本年度はこのゲルが、キラルなビスアンモニウム型のゲスト分子の添加に伴って、円二色性(CD)活性となることが明らかにした。キラルなモノアンモニウム型分子共存下ではCDが発現しないことから、ゲルがCD活性になるためにはビスアンモニウム型のゲスト分子によるクラウンエーテル部間の架橋が必須であることが確認された。また、ゲルが示すCD強度はビスアンモニウム型分子の添加に伴って上昇し、クラウンエーテル部位とアンモニウムカチオンの量論比が等しくなる3:bisamnlonium salt=1:1までの添加で飽和することが確認された。このことから、K^+添加時と同様に、クラウンエーテル部位とゲストのアンモニウムカチオン部位との錯形成が、ゲルがCD活性になる要因であることが示唆された。 興味深いことに、ゲスト不在下でのゲルは物理的振動による破壊に対して不可逆であり、ゲルを再形成することはないのに対して、ビスアンモニウム型のゲスト分子存在下では物理的破壊に対して可逆的にゲルが修復・再形成する「チキソトロピー」を獲得することが明らかとなった。キラルなビスアンモニウム型のゲスト分子存在下でも、物理的振動による破壊後に再形成したゲルのCDが回復しない。以上の結果から、熱的に溶解した後冷却に伴って形成するゲルでは、ゲスト分子は3が形成する一次元的な繊維状会合体の内部で3同士を架橋する形で錯形成するが、物理的振動によって破壊することで一旦解離したゲスト分子は、ゲル再形成の過程で3の繊維状会合体間を架橋する形で錯形成すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初からの研究の想定通り、オリゴチオフェン分子を基本骨格として多様な分子集積特性を示す自己組織系分子の構築に成功した。また、その自己組織過程を外部刺激により、制御することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、多様な構造特性を持つπ電子系分子の名の構造体の創製を目指して、特に構造形成部位に様々な分子を採用した分子を合成し、その自己組織化特性を評価する。さらに、本研究の目標の一つであるナノサイズの有機ヘテロ接合を自己組織化により達成することを目指して、ドナー分子とアクセプター分子のそれぞれをライブラリ化する。ヘテロ接合の形成の為には、ドナー分子とアクセプター分子の自己組織化が協同的に進行することが必要となるので、分子設計と自己組織能の相関を詳細に検討して、高度な自己組織化を実現できる条件を見出す。
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Research Products
(2 results)