2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒を用いた新反応の開発とナカドマリンの全合成研究
Project/Area Number |
09F09785
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 Kyoto University, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STADLER Micllael 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナカドマリンA / 不斉有機分子触媒 / 天然物合成 |
Research Abstract |
ナカドマリンAの不斉全合成を目指して申請者は今年度、ナカドマリンAの合成において一つ目の鍵段階となる…-不飽和アルデヒドに対するエナンチオ選択的なマイケル反応の検討に取り組んだ。申請者は本反応においてナカドマリンA8位の不斉炭素の立体制御と同時にD環の構築を一挙に行うことを検討しているため、求核剤としてD環と同じピロリジン構造を有するものを用いる必要があった。そのためまず申請者はピロリジン骨格を有する種々の活性メチレン化合物の合成を行った。出発物質として・-バレロラクタムを用い窒素上をBn基あるいはBoc基で保護した後にラクタムカルボニル炭素の・位に電子求引基を導入することで目的の求核剤を種々合成した。また、4-メトキシ-3-メトキシカルボニル-4-オキソブタンカルボン酸のカルボキシル基をベンジルアミンと縮合させたのち酸による閉環反応を行わせることで、ピロリジン-2,5-ジオン構造を持った求核剤を合成することにも成功した。次に申請者は合成した種々の求核剤を用いて鍵反応の条件検討を行った。基質としてナカドマリンA合成に展開可能となるように・位に3-フリル基を有する・,・-不飽和アルデヒドを用いることとした。アミノチオ尿素型触媒とプロリン型触媒を中心に様々な不斉有機触媒を検討したところ、求核剤として1-tert-ブチル3-メチル-2-オキソピロリジン-1,3-ジカルボキシレートを、触媒としてリチウムプロリンカルボキシレートを用いることでナカドマリンAの部分骨格であるフラン環とD環を有する目的のマイケル付加体を高い収率で得ることに成功した。残念ながらエナンチオ選択性は非常に低い値であったため、今後さらなる触媒骨格の検討を行うことで立体選択性の向上を目指す。
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