2009 Fiscal Year Annual Research Report
PEG化リン脂質ミセルによる糖鎖電気泳動分析の高性能化
Project/Area Number |
09J00160
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川井 隆之 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糖鎖分析 / マイクロチップ電気泳動 / オンライン試料濃縮 |
Research Abstract |
PEG化リン脂質ミセルを非水系CE分析に適用するために,PEG化リン脂質の有機溶媒下における臨海ミセル濃度(CMC)を測定した。Japan Oil Mills社のDSPE050-PAを試料として,水/アセトニトリルの混合溶媒におけるpyrene蛍光強度の変化を測定することでCMCを算出した。その結果,アセトニトリル混合率30%ではCMCは5μM程度と極めて低い値となり,純有機溶媒下でのミセル形成が期待された。しかし混合率を50%まで上げたところ,CMCは30mM程度まで上昇し,有機溶媒下ではPEG化リン脂質が極めてミセルを形成しにくいことが確認された。他のPEG化リン脂質についても同様のCMCが得られ,非水系におけるミセル動電クロマトグラフィー法の開発は現在のところ実現されていない。 そこで一時的に従来の水系において糖鎖分析の高性能化のための新規オンライン濃縮法の開発を目指すこととした。本研究では試料吸着を抑制できるコーティングキャピラリーおよびマイクロチップにおいて,分離性能を損ねることなく試料を濃縮・分離できるlarge volume sample stacking with electroosmotic flow(EOF)pump(LVSEP)の原理を解明し,糖鎖分析へと適用した。糖鎖実試料のLVSEP-MCE分析を行ったところ,M5~M9の5種類の糖鎖が分離され,従来のMCZEと比較して2200倍の高感度化(M5)が達成された。このとき,検出時間およびピーク高さのRSD(n=3)はそれぞれ1.1, 7.2%となり,高い再現性を持つことが示された。また従来のpinched injection(PI)法を用いる一般的なMCE分析で必要であった試料注入および分離のために複雑な電圧制御を高感度化と同時に省略することに成功した。 これらの成果は当初の研究計画に沿うものでは無いが,MCE分析革新をもたらす画期的発見であり,この技術によりマイクロ統合分析の分野の発展に大いに貢献出来るものと期待される。
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Research Products
(9 results)