2009 Fiscal Year Annual Research Report
血栓予知技術の確立へ向けた無侵襲血液状態検出システムの開発
Project/Area Number |
09J00189
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大島 志織 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体モニタリング / 光計測 / 血栓 / 血液情報計測 / ヘマトクリット / モンテカルロ・シミュレーション / 医療システム / サイバニクス |
Research Abstract |
血栓予知技術の確立に向けて、血栓の前触れとなる血液状態を、近赤外光を用いて無侵襲的に計測・推定するシステムの開発を目指している。本年度は、計測すべき血液状態として赤血球濃度(ヘマトクリット値)の高い状態、及び赤血球が数個ずつ凝集し始める状態を挙げ、これらの状態では通常状態と比べて近赤外光の空間的伝播特性が異なるとの予測から研究を開始した。研究実績は以下の通りである。1.赤血球濃度の安定した計測:精度の高い計測のために、光が血液を伝播する際の光路長に着目した。赤血球による光の吸収と散乱の拮抗する理論的関係から、最大の光路長を得る発光-受光間距離が存在することを明らかにし、この距離で計測を行うことによって、精度の高い赤血球濃度計測が実現できることを確認した。さらに、複数の波長と計測点を用いた赤血球濃度の計測システムの開発を行い、様々な牛血液サンプルを用いた計測実験へ適用した結果、透明チューブ上からの安定した計測可能性が示された。2.赤血球凝集による光伝播変化の検証:現在までに開発してきた、モンテカルロ法を応用したコンピュータシミュレーションを実施した結果、赤血球凝集状態の血液では通常状態と光伝播特性が異なることが明らかになった。また、牛血液を用いた模擬循環回路中に血栓形成過程を意図的に生成し、連続して光計測を行った。この結果、血栓形成過程の中で赤血球凝集が発生していることを顕微鏡観察により確認し、凝集状態において、シミュレーションで得られた解析結果と同様の光計測値変化が捉えられることを明らかにした。
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