2010 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫モデルを用いたコレステロール代謝関連遺伝子の機能解析
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09J00203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳川 拓志 (吉山 拓志) 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生・分化 / コレステロール / ショウジョウバエ / 発生タイミング / ステロイドホルモン / エクジソン |
Research Abstract |
研究代表者は、ショウジョウバエのステロイドホルモン産生器官である前胸腺をモデル系として、コレステロールの輸送や代謝に関わる新規因子の発掘と機能解析を目指している。平成22年度中の研究成果は以下である。(1)ショウジョウバエの前胸腺で発現するリポフォリン受容体の同定を目指し、npcla、megalinをおよびptrを有力な候補遺伝子として見いだした。(2)候補遺伝子の機能解析について、まずnpclaについて解析を行った。培養細胞を用いてコレステロールの取り込み機能を調べたが、npclaとコレステロール取り込みとの関連を示唆する結果は得られなかった。megalin遺伝子およびptr遺伝子に関しては、前胸腺細胞におけるインスリンシグナル経路やhedgehogシグナル経路との関連について、ショウジョウバエを用いた遺伝学的な解析を進めている。(3)コレステロール代謝酵素Neverlandに関して、本年度は相同遺伝子の酵素活性を詳細に検証した。Rieske型酸化酵素であるNeverlandは、脱皮動物である昆虫および線虫において、ステロイドホルモン生合成経路におけるコレステロールから7-デヒドロコレステロールへの変換を担っている。興味深いことに、neverland相同遺伝子は後口動物であるウニやホヤ、さらには哺乳類を除く脊椎動物にも保存されていた。本研究では、neverland相同遺伝子をウニ、ホヤ、ゼブラフィッシュおよびアフリカツメガエルからクローニングし、それらのコレステロール代謝活性が保存されていることを明らかにした。これらの成果は、動物界に広く保存されている新規コレステロール代謝酵素を同定した点、およびRieske型酸化酵素とステロイドホルモン生合成との関わりを初めて示した点で極めて意義深いと考えられる。本成果に関しては、現在論文投稿中である。
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