2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁性と超伝導の双対性及びその競合・共存に関する理論的研究
Project/Area Number |
09J00226
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉置 洋正 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 引力ハバード模型 / 引力-斥力変換 / 揺らぎ交換近似 / 異方的スピン密度波 / 電荷密度波 / 超伝導 / 超流動 |
Research Abstract |
平成21年度は、研究計画に沿い次のような研究成果を得た。 (1)「拡張引力ハバード模型における磁場下での異方的スピン密度波状態」 結晶格子中での超流動・超伝導状態を記述する引力ハバード模型は、磁場によるパウリ常磁性効果によってdはスピン密度波状態を生じる。このd波スピン密度波状態は斥力ハバード模型で生じるd波超伝導状態に対し片側スピンのみ粒子・正孔変換を施した対応物として理解することができる。ところで、Ba_<1-x>K_xBiO_3等のValence-skipperと呼ばれる物質群のドーピング量-温度相図は長距離のクーロン斥力を考慮に入れた拡張引力ハバード模型に基づいてよく説明できる事が知られている。このような背景を元に拡張引力ハバード模型の磁場中でどのような対称性を持ったスピン密度波状態が安定するかを揺らぎ交換近似を用いて検討した。その結果、拡張引力ハバード模型のハーフフィリング近傍には電荷密度波状態が安定化し、これを磁場で壊すと電荷密度波の量子臨界点近傍でp波スピン密度波が安定化するという結果を得た。 (2)「引力ハバード模型における揺らぎ交換近似の超流動秩序状態への応用」 揺らぎ交換近似は引力ハバード模型の超流動転移温度を弱結合から強結合領域まで少なくとも相互作用依存性に関しては定性的によく記述することが知られている。 我々は、この揺らぎ交換近似を超流動転移温度以下に拡張した定式化を一般化乱雑位相近似の範囲で超流動揺らぎと電荷密度揺らぎ間のモード・モード結合効果を考慮に入れた形で行った。この定式化に基づき、超流動秩序に対する量子揺らぎの効果、及び超流動状態の素励起(ボゴリウボフ・アンダーソンモード)に対する電荷密度波の素励起(フェイゾン)との混成効果を計算することに成功した。
|