2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールと中性子星との合体に対する一般相対論的研究
Project/Area Number |
09J00234
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久徳 浩太郎 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一般相対論 / 重力波 / ブラックホール / 中性子星 / 数値相対論 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
ブラックホール・中性子星連星は重力波放射により軌道半径を縮めて合体するが、このときの重力波は中性子星の潮汐破壊に伴なう急激な波形変化を通じて、中性子星内部の高密度物質の状態方程式を反映した波形を持っていることが期待される。過去の研究により潮汐破壊の兆候があらわに見えるのはブラックホールが軽いときであることは良く知られていたが、重力波がどのように状態方程式の情報を反映するかはほとんど調べられていない。今年度はブラックホールが回転しておらず比較的軽い場合について、合体に伴なう重力波の波形が状態方程式にいかに依存するかを数値シミュレーションにより研究した。その結果、潮汐破壊に応じて重力波スペクトルに現れる特徴的なカットオフ振動数は中性子星の質量を半径で割ったコンパクトネスと呼ばれる量を反映することがわかった。さらにこのカットオフ振動数は中性子星のコアの状態方程式の硬さによって系統的に違ったコンパクトネス依存性を持っており、コンパクトネスだけでなく色々な状態方程式の性質を重力波の観測から知ることができるとわかった。この結果は核物理に有益な情報が重力波天文学から引き出せることを定量的に示唆している。さらにこの合体で形成されるブラックホール降着円盤の質量を調べたところ、潮汐破壊が早く起こる場合にはショートガンマ線バーストと呼ばれる爆発を起こすのに必要な0.01太陽質量を超えうることがわかった。この結果は高エネルギー天文学にとって重要な問題であるガンマ線バーストに迫る手がかりを与える。これらの結果は現在論文として投稿準備中である。
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