2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールと中性子星との合体に対する一般相対論的研究
Project/Area Number |
09J00234
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久徳 浩太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 一般相対論 / 重力波 / ブラックホール / 中性子星 / 数値相対論 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
ブラックホール・中性子星連星は重力波を放射しながら合体すると考えられており、そのときの重力波は地上の重力波観測器が最初にとらえるであろう重力波の1つとして注目を集めている。合体直前の波形は中性子星の性質を反映し、特に潮汐破壊が起こるときは急激な波形変化が起こるにとが知られている。重力波観測による高密度物質状態方程式の決定のため、その重力波形がどのように状態方程式の情報を反映するかを理論的に予測することが必要とされている。今年度はブラックホールのスピンがあるときに中性子星の潮汐破壊がどのように影響を受け、また重力波形を変更するかを様々な状態方程式を用いた数値シミュレーションにより系統的に調べた。今年度に投稿・出版された我々の研究により、ブラックホールのスピンがない場合、ブラックホールが中性子星に比べて3倍以上重いと中性子星の潮汐破壊が起こりにくく重力波にも中性子星の影響がないことがわかっていた。その後の研究によりブラックホールが連星の角運動量と同じ向きに回転している場合はこの描像が大きく変わり、ブラックホールが5倍重い場合でも潮汐破壊は起こり重力波から状態方程式の情報を知ることができることが明らかになった。とりわけ、重力波が急激に減衰を始めるカットオフ振動数の情報を用いて中性子星のコンパクトネスを精度良く決めることが可能だと定量的に示した。またスピンを考慮すると合体の際に形成される降着円盤の質量なども潮汐破壊が起こりやすくなったためスピンがない場合より桁で大きくなり、ブラックホールが重い連星でもショートガンマ線バーストの母天体として有望であることが明らかになった。これらの結果はさらに系統的な結果に対し解析中であり、論文として投稿する予定である。
|