2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用と電子相関がもたらす物性の理論的研究
Project/Area Number |
09J00300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下出 敦夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピン軌道相御作用 / 量子ドット / スピントロニクス / スピンカイラリティ / 異常Hall効果 / Berry位相 |
Research Abstract |
ひとつの電子状態を電場や磁場で精密に制御できる量子ドット系に対して,交換相互作用とスピン軌道相互作用に由来するDzyaloshinsky-Moriya相互作用を通してひとつのスピンを電場のみで制御する方法を理論的に提案した。量子ドット系は量子計算機への応用が期待されており,その量子状態を電場のみで制御する本研究は,量子計算機実用化後の省電力化を目指す上で重要であると考える,本研究はPhysical Review Bに掲載され,オンラインジャーナルであるVirtual Journal of Quantum InformationおよびVirtual Journal of Nanoscale Science&Technologyに選ばれた. 幾何学的フラストレーションのためにスピンが有限の立体角をもって配列しているMoパイロクロア酸化物系を想定して,2次元カゴメ格子上の二重交換模型における電気伝導,特にそのスピンカイラリティが与える異常Hall効果を考察した.スピン密度を変化させ実空間基底でHall伝導度を数値的に計算することで,低密度極限における実空間のスピンカイラリティによる異常Hall効果と,高密度極限における波数空間におけるBerry位相による異常Hall効果という両極限をつなぐ統一的な理論を構成できる.Hall抵抗率がスピン密度に対して温度と準粒子減衰率に依存した非自明なべきで変化することを見出した.
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