2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球深部起源のメタン乖離によるマントル構成鉱物の含水素化とダイヤモンド生成
Project/Area Number |
09J00347
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
篠崎 彩子 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル / カンラン石 / 水素 / レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル / ラマン散乱分光 / 赤外分光 |
Research Abstract |
C-O-H流体は微量であってもマントル鉱物の融点や物性に大きく影響を与えることから、マントルダイナミクスを考える上で非常に重要な物質である。C-O-H流体は酸化還元状態によって組成が変化し、地球深部ではメタンや水、水素流体が存在すると考えられている。これまで、地球深部の水とマントル鉱物の反応に関しては多くの研究がおこなわれており、水がマントル鉱物中にOH基の形で取り込まれることが明らかになっている。一方で、メタンや水素に関する研究はほとんど行われておらず、地球深部における存在状態、マントル鉱物との反応は明らかになっていない。 本年度は、カンラン石と水素を出発物質として高温高圧実験を行った。高温高圧の発生にはレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた。放射光を用いたその場X線回折実験から、カンラン石の体積膨張が観察され、さらに、ラマン分光分析からSi-O振動のシフトが観察されたことから、カンラン石が水素の影響を受けたことが示された。 赤外分光分析からは-OH振動モードは観察されなかったことから、水とカンラン石の反応のように、-OH基として水素が取り込まれていないことが示された。一方で、ラマン分光分析から水素分子のH-H振動モードのシフトが観察された。これは、水素が分子の形でカンラン石の結晶構造、もしくは欠陥内に取り込まれたことを示唆しており、本研究の結果はマントル中における新たな水素貯蔵の形を提案するものである。
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