2010 Fiscal Year Annual Research Report
小脳をモデル系とした、神経細胞が個々の固有形質を獲得する機構の解明
Project/Area Number |
09J00446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤山 知之 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小脳 / 神経発生 / bHLH型転写因子 / Ptfla / 抑制性神経細胞 / 神経前駆細胞 / マウス / 移植 |
Research Abstract |
小脳神経発生メカニズムにおける知見として、特に近年、我々や他のグループの研究から小脳を構成する抑制性神経細胞はPtflaを発現する神経上皮領域から生み出されていることが示されたが、いまだ明らかにされていない謎が数多く残っており、その中の一つとして、いかにして多様な種類の小脳抑制性神経細胞が一つの神経上皮から生み分けられているのか、という問いがある。小脳を構成する抑制性神経細胞はその大部分が発生期から幼齢期に生み出されるが、それぞれの種題によって生み出される時期が異なることから、Ptflaを発現する抑制性神経細胞の前駆細胞の性質が時期ごとに変化している可能性が考えられる。これまで、小脳の抑制性神経細胞の前駆細胞のみを集めて移植するという実験は行われていない。今回我々は、Ptflaプロモーターの支配下で発現するYFPの蛍光を用いて、Ptflaを発現する小脳神経前駆細胞をセルソーターにより選択的に選別・回収し、異なる発生段階の小脳へと移植実験を行うことで、時期ごとの性質の変化が細胞自律的なのか、それとも周りの環境に依存した細胞非自律的なものなのかを調べるという実験計画を立てた。その前段階として、まずは移植実験系を確立するために、長期に培養したある時期の小脳神経前駆細胞をマウス胚へ移植する実験を行った。その結果、神経産生期の神経前駆細胞に対し長期培養を行った際、その分化能力が神経産生からグリア産生へと変化するという可能性が示唆された。また、異なる時期の小脳から得られた細胞を単純に移植する実験を行い、どの種類の神経細胞へ分化できるかという能力について解析を行ったところ、発生が進むにつれその分化能力が限られていくという多少の示唆を得た。現在我々は前述のセルソーターを用いた実験を行っており、この結果がまとまり次第、論文を作成する予定である。
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Research Products
(2 results)