2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素―金属シグマ結合をもつ遷移金属錯体を用いた触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
09J00469
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 恵吾 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ロジウム / 不斉付加反応 / アルケニルボロン酸誘導体 / 光学活性アルキルボロン酸誘導体 |
Research Abstract |
有機ホウ素化合物は,有機合成において,極めて有用な合成中間体として知られており,ホウ素-炭素結合をアルコールやハロゲンなど様々な官能基へと変換できることから,これまで数多くの効率的な合成法の研究がなされてきた.光学活性な有機ホウ素化合物は,生成物にその高い立体選択性を導入できることから,合成法の開発が重要であるといえる.ロジウム触媒による有機ホウ素試薬を用いた不斉付加反応は立体選択的な炭素-炭素結合の形成において,有用な反応であることが知られており.アルケニルボロン酸誘導体を電子不足オレフィンとして用いた有機ホウ素試薬の不斉付加反応によって,不斉点を有する有機ホウ素化合物の立体選択的な合成が可能になると考えた.私は,1,8-ジアミノナフタレンで保護されたアルケニルボロン酸誘導体を反応基質として,ロジウム触媒存在下,不斉付加が高収率で進行することを見いだした.4-フェニル-1-ブテニルボロン酸誘導体とフェニルボロキシンとの反応において,ロジウム/光学活性ホスフィン錯体を触媒として用いると,高選択的に不斉付加が進行し,アルキルボロン酸誘導体が得られた.付加体は続く酸化によって,97%eeの対応するフェニル化されたアルコールへと変換された.また本反応で得られる光学活性アルキルボロン酸誘導体は,遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応に用いることで,さらなる炭素骨格の導入が可能となると言える.
|