2011 Fiscal Year Annual Research Report
新奇翻訳伸長因子の機能解析に基づく真核生物のタンパク質合成システム進化の全容解明
Project/Area Number |
09J00528
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神川 龍馬 筑波大学, 生命環境系, 特任助教
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Keywords | EFL / EF-lalpha / PCR / カタブレファリス類 / 遺伝子進化 |
Research Abstract |
これまでにEFLのみを有すると考えられてきたカタブレファリス類において、Poombia sp.はEF-lalphaを有することを逆転写PCRによって明らかとした。本種のEST解析をその後に行ったところ、本EF-lalpha配列が同定されたがEFL配列は同定されなかったことから、本種はEF-lalphaのみを有することが強く示唆される。本解析によってカタブレファリス類においても、EFLおよびEF-lalpha遺伝子は混在しており、このような分布を示すに至った両遺伝子の複雑な進化過程が予想された。カタブレファリス類はクリプト藻類やゴニオモナス類と近縁であるとされている。クリプト藻類はEFLのみを有し、そしてゴニオモナス類はEFLのみを持つ種、EF-lalphaのみを持つ種、両遺伝子を持つ種が混在することが明らかとなっていることから、カタブレファリス類・クリプト藻類・ゴニオモナス類への進化過程で遺伝子の独立した喪失が起こったことが強く示唆される。 また、in vitro実験系において通常のEF-lalphaと同様に、珪藻EFLタンパク質がGTP加水分解活性にともなうタンパク質合成能があるかを再検証することを試みた。EFLの機能解析に供するサンプルを作成するため、昨年度と異なり、C末領域にタグを追加したEFLリコンビナントタンパク質を大量発現する大腸菌を作成した。C-末端領域に結合させたHQタグを利用してカラム精製を行った。このリコンビナントタンパク質がGTPおよび蛍光アミノアシル-tRNAに結合するか調べた結果、本リコンビナントタンパク質はGTPおよびアミノアシル-tRNAに結合することが分かった。本研究成果は、追試実験が必要であるものの、この段階で特別研究員を辞退したため、追試および条件最適化の検討を行うことはできなかった。
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Research Products
(7 results)