2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機化学的手法と分子生物学的手法を融合させた機能性プローブの開発
Project/Area Number |
09J00556
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 修司 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | β-ラクタマーゼ / タンパク質ラベル化 / 蛍光イメージング / 蛍光共鳴エネルギー移動 |
Research Abstract |
細胞が生きたまま、生体分子の挙動や局在を可視化する技術はタンパク質の生体内での機能を詳細に明らかにするために極めて有用な手法である。これまでに我々はタンパク質を蛍光性小分子で標識する技術として、β-ラクタマーゼ変異体を用い、β-ラクタム化合物を特異的にラベル化する手法を確立している。本年度では分子デザインを精査し、ラベル化されることでシグナル特性が変化する分子を開発した。これまでに小分子を用いたタンパク質ラベル化法は数多く報告されているが、その殆どは未反応プローブがバックグラウンドとなってしまうために、細胞洗浄が必要であった。そのため細胞小器官などの洗浄の困難な部位への応用には限界があった。そこで蛍光色素から消光色素への蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いることで蛍光スイッチをプローブ内に組み込んだ。そのプローブデザインは、蛍光色素、β-ラクタム環、及び消光色素の3つの構成要素から成り立っている。ラベル化が起こる前は分子内FRETにより蛍光色素の蛍光は消光していた。しかし、ラベル化によるβ-ラクタム環の開環とそれに伴うプローブの自壊反応によってFRETが解消し、ラベル化による蛍光のみを高感度で検出できた。そして開発したプローブを用いて哺乳類細胞中に発現させた膜タンパク質の特異的ラベル化に成功した。また、励起・蛍光波長の異なる種々の蛍光色素を用いて細胞のマルチカラーラベリングにも成功している。本研究においてタンパク質蛍光イメージングの基礎技術が確立され、Gタンパク質共役受容体などの創薬に重要なタンパク質の挙動解析を可能にするものと期待される。
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