2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性前駆体を用いた多孔性金属酸化物の作製及び構造形成機構の解明
Project/Area Number |
09J00607
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳留 靖明 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セラミックス / 多孔体 / マクロ孔 / メソ孔 / 相分離 / ゾル-ゲル / 階層的多孔構造 |
Research Abstract |
マクロ孔領域及びメソ孔領域に細孔を併せ持つ多孔性アルミナゲルの微細構造解析を主眼とした研究をおこなった。超臨界乾燥を利用して得られるアルミナエアロゲルに対して小角X線散乱測定をおこなった結果、多孔性ゲルを構成する1次粒子は10nm程度であり、その凝集体がマイクロメートル領域の構造を形成していることが明らかになった。1次粒子の凝集体の間隙が形成するメソ孔は出発原料組成に依存するため、相分離に対するゲル化のタイミングにより制御可能なマクロ孔領域の構造に加えて、メソ孔領域の構造も制御可能であることが示された。このようなアルミナ多孔性ゲルの微細構造に関する知見は、本実験手法を様々な反応系に拡張する上で重要である。申請者はアルミナ多孔性ゲルの微細構造解析結果より得られた知見をもとに、これまでに報告がなされていないモノリス型リン酸カルシウム多孔材料の作製に初めて成功した。生体親和性の高いリン酸カルシウム系材料はインプラント物質、分離媒体、吸着剤としての応用が期待されている。特に、制御された細孔構造を有する新規のリン酸カルシウム系材料は高性能分離媒体として従来型製品を遥かに凌ぐ性能が期待される。また、これらの研究と並行して階層的多孔構造を有するゼオライトモノリスの作製を試みた。本研究で作製されたゼオライトモノリスは、ミクロ孔領域、メソ孔領域、マクロ孔領域のそれぞれに制御された細孔を有する物質であり、触媒・分離剤として優れた反応効率を示すことが期待される。得られた研究結果を論文にて公表すると共に、国内外の学会にて発表し、15th International Sol-Gel Conferenceにおいて2009 J.D.Mackenzie Awardを受賞した。
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Research Products
(5 results)