2010 Fiscal Year Annual Research Report
強調された相互作用を有する二次元カーボンネットワークの構築
Project/Area Number |
09J00664
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 貴志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 縮環芳香族化合物 / 渡環環化反応 / ゼトレン / デヒドロアヌレン / インデノフルオレン |
Research Abstract |
新奇な縮環芳香族化合物の合成およびその特性の解明を目指し、以下の研究を行った。 1.ビス(テトラデヒドロジナフト[10]アヌレン)の合成研究 報告者の所属研究室ではテトラデヒドロジナフト[10]アヌレンの合成とヨウ素による渡環環化によるゼトレン誘導体への変換を報告している。本研究ではビス(テトラデヒドロジナフト[10]アヌレン)の合成とその渡環環化反応によるビスゼトレンへの変換を目指した。ビス[10]アヌレンは末端アセチレンとヨウ化アリールとの分子間もしくは分子内薗頭反応によって得られると考えた。いずれの合成経路においても1,4,5,8-テトラエチニルナフタレンが鍵中間体となる。これまでにテトラエチニルナフタレンは合成例がないことから、その合成の検討を行った。その結果、文献既知のジブロモナフトキノンからのアセチリドの付加、脱水、薗頭反応により合成できることを明らかにした。ビス[10]アヌレンの前駆体合成まで完了しており、現在ビス[10]アヌレンへの変換を検討している。 2.オクタデヒドロジベンゾ[12]アヌレンの反応性の検討 昨年度、オクタデヒドロジベンゾ[12]アヌレン([12]DBA)に臭素を作用させると二種類のインデノフルオレン誘導体が高収率で得られることを明らかにした。X線構造解析とNMR測定からこれらはヘキサブロモジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン(アンチ形)とヘキサブロモジヒドロインデノ[2,1-a]フルオレン(シン形)であることが確かめられた。これらは加水分解により対応するジケトンへと変換された。[12]DBAとヨウ素との反応ではアンチ形の生成物のみが得られることが報告されているが、同反応を追試したところ少量のシン形生成物の存在を確認した。これらの結果を合わせて、臭素とヨウ素を用いた場合の反応性の相違を検討した。
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