2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規な固体電解質型ガスセンサの開発とガス検出機構の解明
Project/Area Number |
09J00671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 つかさ 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガスセンサ / 固体電解質 / アンモニア / Al^<3+>イオン伝導体 / 希土類オキシ硫酸塩 |
Research Abstract |
本研究では、実用的なセンサの構成材料となり得る新規物質(固体電解質および検出補助極)を理論及び実験の両面から、その基礎物性を決定する構造的因子を明らかにした上で実用的な固体電解質型センサの開発を目指した。 前年度の研究結果から、希土類硫酸塩・硫酸アンモニウム複塩R_2(SO_4)_3・(NH_4)_2SO_4は希土類元素によって、複塩が無水物として安定に存在できる温度領域が異なることがわかった。すなわち、種々のR_2(SO_4)_3・(NH_4)_2SO_4を検出補助極として用いることで、異なる温度領域でNH_3を計測可能なセンサの開発が期待される。そこで、平成22年度は、分解温度が異なる種々のR_2(SO_4)_3・(NH_4)_2SO_4(R=Ce~Eu)とAl^<3+>イオン伝導体とを組み合わせたセンサのNH_3検出特性を評価した。その結果、R_2(SO_4)_3・(NH_4)_2SO_4を用いた本センサは、220-300℃の広い温度領域においてNH_3濃度を精度よく検知できることが明らかとなった。 さらに、耐水性に優れるNH_3センサの開発を目指し、難水性で結晶構造中に広い隙間を有するオキシ硫酸ランタンLa_2O_2SO_4に、比較的熱安定性、化学的安定性に優れるNH_4H_2PO_4を導入したLa_2O_2SO_4-NH_4H_2PO_4検出補助極を開発し、これを(Al_<0.2>Zr_<0.8>)_<20/18>Nb(PO_4)_3と組み合わせたセンサのNH_3検出特性を評価した。その結果、本センサは170-190℃において湿潤雰囲気、乾燥雰囲気ともにNH_3濃度を精度よく検知できることがわかった。さらに、湿潤雰囲気と乾燥雰囲気でのセンサ出力値が同程度であることから、本センサは水蒸気の影響を受けないセンサであることが明らかとなった。 これら平成22年度の結果により、熱安定性が高い希土類硫酸塩・硫酸アンモニウム複塩R_2(SO_4)_3・(NH_4)_2SO_4を検出補助極に用いることで比較的高温の広い温度領域でNH_3濃度を計測できるNH_3センサを、また、耐水性に優れるLa_2O_2SO_4-NH_4H_2PO_4を検出補助極に用いることで水蒸気の影響を受けずにNH_3濃度を計測できるセンサを開発することに成功した。
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Research Products
(8 results)