2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムタンパク質から構成されるユニークな超分子集合体構築法の開拓とその機能評価
Project/Area Number |
09J00734
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大洞 光司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 生体材料 / 超分子化学 / ミオグロビン / ストレプトアビジン / ホスト-ゲスト / 自己集積化 / ナノマテリアル |
Research Abstract |
近年、タンパク質を自由自在に集積化させ、得られる集合体を電子移動媒体、効率的な光捕集系、高触媒活性膜や薬物輸送などの材料として利用する試みが注目を集めている。しかしながら、タンパク質を集積化する手法はまだ確立されておらず、機能を持つ集合体については、ほとんど報告例がないというのが現状である。以前に、我々は潜在的に機能を有するヘムタンパク質に着目し、ヘムとタンパク質マトリクス間の特異的な相互作用で連なるヘムタンパク質の自己集積化を達成し、タンパク質集合体構築法の手法の一つとして提案した。次なる展開として、複数種のタンパク質から構成される組織体を構築し、個々のタンパク質機能の相乗効果による新しい性質の発現や高次な構造的制御をめざしている。 本申請者は、本年度、二種のタンパク質から構成される新規のタンパク質集積体の構築を試みた。素材としては、以前から用いている酸素貯蔵ヘムタンパク質のミオグロビンと、取り扱いの容易なビオチン結合タンパク質であるストレプトアビジンを選択した。具体的には、新規に設計・合成したビオチン修飾ヘムをミオグロビンの二量体に挿入し、続いて、ストレプトアビジンとの複合化を検討した。結果として、種々の測定結果からそれぞれのタンパク質が交互に並んだ線状の共重合体の形成が示唆された。本手法は、タンパク質表面への共有結合的なヘムの導入という難易度の高い操作を必要としないため、より汎用性の高いヘムタンパク質自己集積体の構築が可能であり、緻密な設計に基づいた構造制御の可能と考えられる。
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