2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00775
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴巻 英治 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィン / サブポルフィリン / 湾曲π共役化合物 / サブバクテリオクロリン / カルボラン / ボレニウムカチオン |
Research Abstract |
メゾアリールサブポルフィリンは、3つのピロール環が3つのメチン炭素を介して架橋した環状の14π芳香族化合物である。その構造はきわめて単純であるにも関わらず、その合成は近年になりようやく達成され、その化学は端緒が開かれたばかりである。前年度、我々はこのサブポルフィリンのボレニウムカチオンの合成とその単離に、安定かつ配位能のないカルボランアニオンを対アニオンとして用いることで成功し、その構造が平面構造であることを明らかにした。今回、このサブポルフィリンカチオンの反応性についてさらに検証を行った。サブポルフィリンカチオン-カルボランアニオン塩に対し、脱水トルエン中でフェニルリチウムを作用させたところ、ホウ素上にフェニル基の付加したサブポルフィリンが96%の収率で得られた。このようなアキシャル部位に酸素原子以外の置換基を有するサブポルフィリンは、これが初の例である。 また、サブポルフィリンは塩基性条件下p-トシルアジドを作用させることでβ位がジヒドロ還元されたサブクロリンが得られることを以前報告しているが、この還元反応において、さらなる還元体であるサブバクテリオクロリンが痕跡量得られることを見出した。さらなる検討を行った結果、脱水THF中でラネーニッケルを作用させることで中程度の収率で目的物が得られることが分かった。X線結晶構造解析に成功し、その構造がお椀型構造を保持していることが分かった。また^1H NMRスペクトルの測定やDFT計算の結果から、この化合物は窒素上の非共有電子対を含む14πの芳香族性であり、その芳香族性はサブポルフィリンやサブクロリンに比べて弱いことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)