2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00866
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 隆行 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / 環拡張ポルフィリン / 非線形光学材料 / ボロンジピロメテン / エネルギー移動 |
Research Abstract |
新規縮環ポルフィリノイドの合成を目指し、ポルフィリンとヘキサフィリンがそれぞれ1つのメゾ位と2つのベータ位で三重に架橋されたポルフィリンヘキサフィリンハイブリッドの合成に成功した。この分子はヘキサイフィリン骨格に特有の酸化還元反応や錯体形成が可能であり、酸化体、還元体それぞれの物性を明らかにした。還元体は、π電子数が28であるが、溶液中では構造の柔軟性が高く、明確な反芳香族性は示さなかったが、そのロジウム(I)二核錯体では明確な芳香族性と反芳香族性の変換を可能にした。このような性質は非線形光学材料としての応用が期待できる。また、ヘキサフィリンの新たな機能化を検討し、ボロンジピロメテン(BODIPY)とヘキサフィリンのハイブリッド化合物の合成を行い、その物性を開拓した。BODIPYの強い発光特性を利用し、ヘキサフィリンへの効率的なエネルギー移動を確認した。それと同時に、ヘキサフィリンの電子状態や構造変化とエネルギー移動効率の相関についても明らかにした。また、メビウス構造を有するヘキサフィリンパラジウム、ニッケル、白金錯体の光学分割にも成功し、パラジウム錯体のX線結晶構造解析、CDスペクトル、ラセミ化機構の活性化パラメータ等詳細な検討を行った。これら詳細な解析はメビウス骨格をもつ純粋なエナンチオマーとしては初めての報告である。更に不斉配位子を用いてキラルなパラジウム錯体の不斉合成にも着手し、不斉誘起に成功した。これらの成果はメビウス分子の新たな可能性を示すものであり、不斉触媒への応用も期待できる。
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