2010 Fiscal Year Annual Research Report
GLAST時代の宇宙X線ガンマ線背景放射と活動銀河中心核
Project/Area Number |
09J00878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 芳幸 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天文学 / 宇宙線 / ガンマ線 / ブラックホール / 宇宙背景放射 / 銀河 |
Research Abstract |
研究代表者はセイファート型とブレーザー型の活動銀河核(AGN)双方を研究してきた経験を生かし以下の研究に取り組んでいる。ガンマ線衛星Fermi(申請時点ではGLAST)が2008年に打ち上げられたが、さらにX線や高エネルギーガンマ線でも新望遠鏡が計画されており、新しい観測データと申請者のAGN種族の宇宙論的進化モデルを比較解析することで宇宙X線・ガンマ線背景放射の解明を目指している。 まず申請時に取り組んでいたブレーザーの光度関数モデルに基づきFermi衛星で赤方偏移z~6のブレーザー天体が観測される予測を行い、このような高赤方偏移ブレーザー天体をどのようにFermiで検出される1000天体以上ものサンプルから絞り込む方法についての研究を行った(論文3)。また次世代ガンマ線望遠鏡CTAで期待されるブレーザーの検出数が100天体以上であること、赤方偏移z~1.5程度まで観測できることを示し、ブレーザーを探査する最適な手法についても議論した論文を出版した(論文4)。加えて、Fermiによって電波銀河が検出されてきたことを受け、電波銀河のガンマ線背景放射への寄与をしらべた(論文1)。これまでの研究成果と合わせることで、各AGN種族によって宇宙X線・ガンマ線背景放射を実に8桁にもわたるエネルギー領域で説明できる可能性を示した。 また近年、星形成銀河から観測されたガンマ線は宇宙線起源であるが、宇宙線の最高エネルギーは謎であった。銀河内赤外線放射が強いため最高エネルギー宇宙線起源のガンマ線は電子陽電子対生成反応により吸収されるが、生成された電子陽電子は赤外線をコンプトン散乱することで数十GeVに二次的なガンマ線を作る。この二次的なガンマ線から銀河内の最高エネルギー宇宙線を探れることを指摘した(論文2)。
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Research Products
(11 results)