2009 Fiscal Year Annual Research Report
陽子スピン構造における海クォーク偏極度の寄与の解明
Project/Area Number |
09J00901
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克朗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ハドロン / 核子構造 / スピン / 実験 |
Research Abstract |
平成21年度における研究の主な成果として、以下の3点があげられる。まず1つ目はMuTRG-MRGおよびMuTRG-DCMIFの開発の成功である。このMuTRG-MRG、MuTRG-DCMIFは最大1216チャンネルにのぼるチェンバーからのヒット信号をトリガー回路及びデータ収集回路に送信する回路であり、我々が新たに開発しているトリガーシステムにおいて必要不可欠な装置である。この開発にあたって特に重要な点は、2.8Gbpsという高速シリアルデータ送信を十分低いエラーレートで実現したということである。これは非常に多くのチャンネルの信号を1台のトリガー回路で受ける本システムにとってなくてはならない性能である。成果の2点目としてあげられるのはトリガーシステムのヒット情報読み出し部分のインストール作業の完了である。我々は現地PHENIXにおいて前述の回路、およびチェンバーからのヒット信号を生成する回路であるMuTRG-ADTXの設置作業を終了させた。特にこのMuTRG-ADTXは総数が344台にのぼるため、この設置作業において最も労力を割いた部分である。この設置作業に加えて、PHENIXデータ収集環境に我々の回路からのデータの読み出し部分、および制御機構を増設することによって、PHENIXにおけるチェンバーからのヒット情報のデータ収集を可能にした。さらに、2009年3月から6月にかけて行われたPHENIXでの陽子-陽子衝突実験において、設置した実機においてデータ収集を行い、長期間におよぶ実験中の安定した動作を確認した。これが実際の実験での初のデータ収集であり、システムの性能評価を行う上で非常に重要なデータとなる。3点目として、チェンバーのアライメント補正システムの修復を行い、実験中にこのシステムを正しく稼働できるようにした。この稼働により、磁場の有無で運動量測定に影響を及ぼすようなチェンバーのアライメントに変化がないことを突き止め、実験中(磁場有)のチェンバーのアライメントとして磁場無で測定したものを使えることを明らかにした。以上は本研究員が研究推進として計画した、「MuTRG-MRG、MuTRG-DCMIFの開発」、「トリガーシステムの完成」、「アライメント補正システムの修復」という目標をすべて完了させたということに相当する。
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Research Products
(4 results)