2010 Fiscal Year Annual Research Report
陽子スピン構造における海クォーク偏極度の寄与の解明
Project/Area Number |
09J00901
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克朗 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核子 / 構造関数 / スピン / RHIC / PHENIX / トリガー / 回路 |
Research Abstract |
平成22年度における研究の主な成果として、以下の3点が挙げられる。 まず1つ目は2010年に取得したビームデータ、および宇宙線データによる我々の新たなトリガーシステム(MuTRG)の動作確認・性能評価である。これらのデータにより始めて、全MuTRG用読み出し回路の動作確認・性能評価に成功した。これにより、トリガーシステムとしてほぼ安全な動作を行っていることを確認した。また2009年に取得したビームデータと一致した性能評価結果を得た。また宇宙線によるバックグラウンドが少ないデータを解析することで十分運動量の高い荷電粒子にタイルストリガー効率が99%という非常に高い値となることを確認した。 2つ目は我々のトリガーシステムにおいてトリガー発行のタイミングを決定する検出器、Resistive Plate Chamber (RPC)の設置作業の部分的完了である。MuTRGのイベント選択はμ粒子用飛跡検出器からの信号を用いて高運動量の荷電粒子を選択することで行っているのであるが、μ粒子用飛跡検出器の時間分解能は衝突したビームバンチを特定するには十分でない。そこで時間分解能に優れたRPCが必要となる。RPCはまたその優れた時間分解能により宇宙線バックグランドの効果的な除去を行ってくれる。W粒子生成事象は非常に稀なのでこの宇宙線バックグラウンドの除去が重要となってくる。こんかいのRPCの設置によりμ粒子測定用の検出器群のアクセプタンス領域のすべてを覆うことに成功した。さらにビームデータを用いて時間分解能を測定し、十分な性能が出ていることを確認した。 3つ目はバックグラウンドとなるハドロンイベントを抑制する吸収材の導入である。 以上の改善を加えて、現在この新しいトリガー回路を用いて着々と500GeVでの陽子陽子衝突の実験データを取得している。このデータを用いて今後初の前後方でのW粒子の測定を行う予定である。
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Research Products
(5 results)