2009 Fiscal Year Annual Research Report
K中間子稀崩壊探索のための実験基盤の確立と感度向上の試み
Project/Area Number |
09J00920
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩見 公志 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | K中間子稀崩壊実験 / J-PARC / KL生成数測定 |
Research Abstract |
我々の実験は中性K中間子の稀崩壊KL→π^0ννを探索する実験であり、実験感度の向上には新たな大強度の中性K中間子ビームが必要不可欠である。そのため我々のグループは茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)に新たな中性K中間子ビームの建設を今年度初頭から秋にかけて行ってきた。我々の実験が到達できる実験感度はビームラインでのKL生成数に依存するので、建設されたビームラインでのKL生成数を測定することが非常に重要となる。そこで、私はホドスコープとカロリメーターを使用し、KL→π^+π^-π^0崩壊を検出することによりKLの生成数を評価する実験手法を考案した。具体的にはホドスコープで荷電パイオンのトラッキングを行い、カロリメーターでπ^0からの崩壊γの位置とエネルギーを測定する。検出器開発の研究の結果、ホドスコープとしてはシンチレーターを使うことにした。また、カロリメーターとしては7cm×7cm×30cmの純CsI結晶を5×5に積んだものを1バンクとして、ビーム軸対称に2つのバンクを設置した。今年度6月には東北大学核理研電子ビームを用い、検出器の試作機をテストし性能を評価した。これによりホドスコープは全面で高い荷電粒子検出能力(~99%)を有することを示した。また、カロリメーターに関しては800MeVで2%という高いエネルギー分解能を持つことを示した。これらの結果を受け、残りの検出器の製作を行った。そして、J-PARCの中性K中間子ビームラインの実験エリアヘホドスコープとカロリメーターを設置し、10月から2月までの間にデータを取得した。その後、データの解析を行い、KLの生成数はシミュレーション予想と同程度であり、我々のビームラインが予想通りの性能を有することを示した。
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