2010 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線・ミリ波の新たな観測に基づく銀河相互作用における塵に埋れた星形成活動の理解
Project/Area Number |
09J00969
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
稲見 華恵 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 赤外線天文学 / 高光度赤外線銀河 / スターバースト / 活動銀河核 |
Research Abstract |
宇宙の星形成史を理解するために、活発に星形成を高光度赤外線銀河(Luminous Infrared Galaxies, LIRGs)に着目している。この銀河は、宇宙の単位体積あたりの星形成率で優位を占めている上に(Goto et al.2011)、過去にさかのぼるにつれて更にその傾向が急激に強まることから(Goto et al.2010a)、宇宙の進化を理解するための重要な役割を担っている。LIRGsの膨大なエネルギー放射源は、非常に激しい星形成、または活動中心核だと考えられている(Armus et al.2009)が、その機構などはまだ完全に理解されていない。現在、最も有力なメカニズムとして提案されているは、銀河どうしの衝突や合体である(e.g.Petric et al.2011)。本研究では、過去最大の近傍LIRGsのサンプルの多波長による観測データを用いることで、銀河の形態とその物理・化学状態の関係を明らかにすることにより、宇宙の銀河進化と星形成について解明しようとしている。特に、本年度は、NASAスピッツアー赤外線宇宙望遠鏡での高分散分光データを主力に、LIRGsの物理化学状態に制限をつけた。 観測された輝線どうしの光度比と大質量星からの紫外線放射と衝撃波による励起のモデル計算により得られる輝線比を比較することにより、LIRGsの年齢・金属量・電離度・密度・衝撃波速度・磁場等を求めた。これにより、スターバーストが主なエネルギー源の近傍LIRGsの年齢は1Myrから4.5Myr,金属量は太陽金属量と同程度から2倍程度、電離度は2×10^7-8×10^7cm s^<-1>に制限することができた。一方で、活動中心核が主なエネルギー源だと考えられる近傍LIRGsは、スターバーストのLIRGsよりも約1桁電離度が高いことがわかった。また、衝撃波モデルと観測値を比較すると、活動中心核をもつLIRGsには衝撃波の存在が示唆された。しかし、衝撃波の指標である鉄イオンの放射が強いソースは、衝撃波モデルでは説明することができなかった。また、銀河形態と銀河ガスの状態には相関はみられなかった。
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Research Products
(11 results)